2017.11.07 金融庁 主な論点を公表、損保協会との意見交換会で「ポイント制度」など
金融庁はこのほど、9月に行われた損保協会との意見交換会において、「代理店手数料ポイント制度」や「代理店乗合承認」「保険商品審査」など同庁が提起した主な論点を公表した。代理店手数料ポイント制度については、5月18日の参議院財政金融委員会で、金融庁の遠藤俊英監督局長が実態の把握のために保険会社と代理店に対するヒアリングを開始したと答弁していた。金融庁では、行政の透明性の向上を図るとともに、同庁の問題意識を適時に発信する観点を踏まえ、業界団体との意見交換会で提起した主な論点を公表している。以下に概要を掲載する。
「代理店手数料ポイント制度」については、一部の損保代理店から、「評価が代理店の規模・増収に偏りすぎており、顧客対応に努力していても小規模代理店の経営は苦しくなっている」といった声があると紹介。金融庁窓口にも苦情が寄せられている他、国会の議論でも取り上げられたこともあり、今回、実態把握のために保険会社・損保代理店にヒアリングを行ったとしている。
同庁によれば、顧客対応等の業務品質の評価についてのポイントはわずかで、規模・増収がポイント決定の中心的な要因となっている例が多く見受けられたとする。一方、代理店として一定の規模以上であることが、BCP対応や事務ミス・不正防止や相互けん制を通じた安定的な顧客対応等につながる面があることから、「そうした点は業務品質として評価していく余地もあるように伺えた」としている。
代理店手数料ポイント制度は、「損保会社と代理店間の代理店委託契約に定められた民民間の契約であり、そのあり方については当事者間でよく話し合うことが重要」と指摘。各社に対し、当事者双方にとって納得のできる手数料ポイント制度となるよう、真摯(しんし)に考えてみるよう要望した。
一方、「代理店乗合承認」については、代理店から乗合承認を申請した際の損保会社の対応に関し、同様に苦情が寄せられたり、国会の議論で取り上げられたことから、実態把握のため両者にヒアリングを実施したとしている。
同庁によれば、代理店からは、乗合申請に対する保険会社側の諾否の回答が引き延ばされたり、判断理由が明確に説明されない場合があることに対する不信感が表明されたという。また、代理店として商品数増加に適切に対応できる体制となっていれば、顧客に提供可能な商品・サービスを実質的に拡大する場合については乗合承認を検討してもよいのではないか、といった意見があったとしている。
長期間、損保会社の収益に貢献している場合などに対しても、乗合を認めないのはおかしいといった意見の他、乗合承認の相談を保険会社にすると、理由も聞かずに門前払いされるといったケースも報告された。
また、乗合諾否の回答期限や、乗合を拒否する場合の理由について文書で回答すること、代理店と十分話し合うことなどを規定した「損害保険代理店登録事務マニュアル」の尊重を求める声があったことにも言及した。
同庁では、保険会社の乗合承認も、損保会社と代理店間の代理店委託契約という事業者間の民民間の契約に定められたものであることから、本来当事者間で話し合うべき問題であるとした上で、各社に真摯な対応を要望した。
「保険商品審査」については、近年、各社が既存商品のブラッシュアップに加えて、生保ではトンチン年金など長寿リスクに備える商品や健康増進型の商品、損保ではスマートフォン等のインターフェースを活用したInsurTech関連商品やサイバーリスクに備える商品等、新たなニーズに対応した新商品が数多く開発されているとの認識を示した。
先ごろ、事務年度の区切りとして、商品認可についての振り返りを行った結果、過去5年間で生保商品の申請・認可件数は約2倍、損保商品の申請・認可件数は約1.5倍とおおむね増加傾向で、近年は全申請案件が標準処理期間内に処理されている点を確認した上で、審査に当たっては、申請会社が社内で検討した論点や過去の経緯、それに対する考え方などについて初期の段階で当局に対し十分に説明をすれば、審査期間を短くできる可能性が高まると指摘。商品審査で建設的な議論を行って改善策を見いだしていくことが、審査期間の短縮にとどまらず、優良な商品の開発につながるのではないかとの見解を示した。