2017.11.01 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保 家主費用特約が合計1万件超に、高齢社会問題に対応
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が共同で開発した損保業界初の高齢社会対応の特約が反響を呼んでいる。2015年10月発売の「家主費用特約」がこれまでに両社で1万件超、今年1月発売の「新型個人賠償特約」(線路への立ち入りで鉄道を止めた場合に生じる賠償責任も補償)は両社で約5000件となった。「家主費用特約」は、火災保険に付帯できるアパート経営者向けの特約で、一棟オーナーだけでなく、マンション一室のオーナーも加入できる。日本地主家主協会や宅建協会、大家向け機関誌などへのアプローチも奏功している。新型個人賠償特約は、「業界初」の特約として拡販を図っている。
「家主費用特約」は、火災保険の新規契約時の他、毎年の契約更改のタイミングで申し込みできる。賃貸住宅内での入居者の死亡によって発生する費用(清掃、改装、遺品整理)や家賃収入の損失などを補償し、上下左右の隣接個室も補償の対象とする。
加入経路は、三井住友海上の場合は、プロ代理店が44.5%、不動産関連が28.7%、金融機関が11.6%。あいおいニッセイ同和損保の場合は、プロ代理店35.0%、不動産関連が51.7%、金融機関が3.6%など。これまでに、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保で、複数件の支払いが発生している。
一方、「新型個人賠償特約」は、認知症患者の増加傾向を受けて開発。徘徊(はいかい)し、誤って線路に立ち入り鉄道を止めた場合等、高額な賠償請求が発生するケースがあり、保険加入のニーズも高まってきたためだ。同特約を付帯できる火災保険を、三井住友海上では新商品「GK すまいの保険 グランド」、あいおいニッセイ同和損保では「タフ・住まいの保険あんしんパッケージ」の名称で発売。新しいパンフレットも制作した。
「家主費用特約」について、三井住友海上火災新種保険部個人火災保険チーム課長代理の安澤翔氏は「高齢者の一人暮らしが増加する一方で、部屋などの貸し渋りも発生している。そうした状況を保険で解決したいと考えた。不動産会社などからは『待望の特約ができてよかった』との声を多数もらっている」、あいおいニッセイ同和損保火災傷害保険部火災グループの古橋麻子氏は「居室内の死亡事故が原因で家賃収入が減少した場合、金融機関にとって住宅ローン債権回収不能リスクがあるが、それを回避できるため金融機関からの関心も高い。住宅関連の協会や雑誌などでこの特約を知る大家も多いようだ」と話す。代理店からは、全国で開催した勉強会や分かりやすいツール(チラシなど)も喜ばれている。
さらに、新型個人賠償特約を付帯できる火災保険について、安澤氏は「『事故がなくても保険に入っていてよかった』と思える商品として『GK すまいの保険 グランド』を販売しており、付帯サービスも充実させている。例えば、室内建具調整、家具移動・電球交換等々の高齢者の日常生活を意識した専門業者の手配ができる点なども注目されている」と指摘。古橋氏も「お客さまに寄り添い、暮らしの中のさまざまなシーンを想定した」と商品開発のポイントを振り返る。両社では、今後も高齢者を意識した商品や特約の開発を推進していく方針だ。