2017.10.31 大同火災 代理店ポータルに申込書作成機能構築、低コストで業務効率化
大同火災は、2015年8月から運用している代理店ポータルに、保険商品の申込書作成機能を新たに構築した。現在は特殊傷害や国内・海外旅行傷害などの少量多品種商品14種目が対象で、これらの種目は保険料のウェブ試算から申込書作成までのプロセスが代理店ポータル内で完結する。事務作業の効率化を図ることで、さらなる営業時間の創出による営業(販売)力強化、業務品質の向上、事務コスト削減につなげることが狙いだ。
同社ではこれまで、手書き用の申込書では、個人・法人固有の項目や免責、特約等の契約条件を網羅した内容を表示する必要があった。そのため、どこの項目に何を記入すればいいか戸惑うこともあり、記入間違えや記入漏れといった不備が多発していた。
今回、新たに構築した申込書作成機能では、保険料のウェブ試算で入力した内容から顧客の契約内容に応じて必要項目だけを自動的に編集・表示し、法人・個人別問わず顧客一人一人の契約内容に合わせたOne to Oneの申込書が作成できる。申込書のレイアウトも、商品問わず統一したレイアウトにするとともに、高齢者にも見やすいUDフォントを活用するなど工夫している。
同機能は少量多品種商品が対象となっており、現在は特殊傷害、国内・海外旅行、建設工事・施設・生産物賠償、幼稚園・保育園賠償など14種目が対象となっている。今後は、企業向け賠償、傷害総合、動産総合、テナント総合などの種目にも対象を拡大していく予定だ。
同社では、営業(販売)力強化、業務品質向上、事務コスト削減を図るため、以前から契約管理プロセスの改善・刷新に取り組んでおり、これまで代理店ポータルや満期プロセス管理システムの開発などを進めてきた。
少量多品種商品に関しては、「傷害新種ウェブ試算・申込書作成機能構築プロジェクト」を立ち上げ、傷害・新種オフライン計算ソフトのバージョンアップや個人情報管理などの課題を解消するため、保険料ウェブ試算機能の構築に取り組んだ。
保険料ウェブ試算画面では、素早い開発と業務のオートメーション化をサポートする㈱NTTデータ イントラマートの「intra―mart Accel Platform」、保険料計算エンジンとして、エクセルベースでルールを定義するだけでウェブサービスとして利用できる㈱B―Prostの「BEXTWebService」を導入した。
また、申込書作成機能は、保険会社における「One to One帳票」で実績のある㈱ミックのソリューション「Open!PrintXML(帳票作成・管理)」を導入した。
情報システム部システム開発課の具志堅聡課長代理は「低コスト、早期、高品質をキーワードに、当社では初めてとなるソリューションを組み合わせたシステム連携による構築に取り組んだ。その結果、求めていたスピード感で進めることができた」と話す。
事務サービス部事務企画課の儀部頼之課長代理は「本機能の利用が進んでいる代理店では業務効率化を実感しており、好評を得ている。申込書の不備率も大幅に改善しており、事務サービス部門による代理店への申込書内容の確認の他、顧客からの問い合わせやクレームが減少した」と強調する。
同社では現在、代理店の利用率を上げるため、営業店などで勉強会を実施するとともに、代理店の声を踏まえた機能改善に取り組んでいる。今後は満期を迎える契約データの取り込みや、作成した申込書データを複製する機能など、業務効率化に向けた機能拡充を検討している。一方、申込書の計上はまだ手入力のため、顧客に保険証券を送付するまでに時間がかかっていることから、計上まで自動化することが課題となっている。今後は計上業務とのデータ連携も視野に開発を進めていく予定だ。
情報システム部の山里武司次長は「今回の申込書作成機能の開発で得た知識やノウハウは、他の商品やその他の帳票作成にも展開できると考えている。ソリューションを組み合わせることで基本的にノンコーディングでの開発を実現しており、引き続き開発を進めながら知識やノウハウを蓄積し、内製化に取り組んでいく」としている。
また、申込書作成機能の構築を支援したミックの細川謙三社長は「当社は保険業界での帳票作成・管理・活用においては、豊富な実績とノウハウがあると自負しており、大同火災のシステム開発においても、当社が提供するソリューションを活用して開発日数、工数、コストの大幅削減を実現した。保険会社のさまざまな要望に対応可能だ」と話す。