2017.10.12 JA共済連 共栄火災の業務災害補償保険活用、労働災害に新保障制度
JA共済連と共栄火災は10月から、農家組合員を対象とした「JA共済 労働災害保障制度(業務災害補償保険)」の募集を開始した。農業経営の大規模化や法人化に伴って増大する農業法人等の事業者を取り巻く労働災害リスクに対応するもの。保障は来年1月から開始の予定で、共栄火災が引き受ける。
「JA共済 労働災害保障制度(業務災害補償保険)」は、共栄火災の業務災害補償保険を活用し、農家組合員を対象としたJA共済連の全国制度(集団扱制度)として保障制度を構築することで、保険料の低廉化(約57%の割引)を図っている。
「従業員の保障」と「事業者の保障(損害賠償への備え)」を1商品で提供でき、保障対象となる従業員については、パート・アルバイト・派遣スタッフ・外国人技能実習生も含まれる。「従業員の保障」については、事業者が福利厚生の観点から支給する給付金の額を保障。政府労災保険の認定を待たずにスピーディーな支払いが可能としている。
事業者が高額の損害賠償額を負った場合でも、政府労災保険の支給額を超過する額を支払うことができるのも特長の一つとなっている。
主な保障内容としては、従業員が業務に従事中に死傷した場合に、その状態に応じて、死亡補償保険金、後遺障害補償保険金、入院補償保険金、手術補償保険金、通院補償保険金の各保険金を支払う。
特約部分で、従業員の保障として、「労災認定された脳・心疾患等補償特約」の付帯によって、うつ病や過労死などの精神疾患や脳・心疾患について、労災認定された場合に死亡補償保険金・後遺障害補償保険金を支払う。「休業補償保険金支払特約」では、従業員が業務に従事中に身体障害を被り、就業不能となった場合に保険金を支払う。
一方、事業者の保障として、「使用者賠償責任補償特約」の付帯によって、従業員が業務に従事中に死傷した場合に、事業者が安全配慮を怠り、損害賠償責任を負うときに、賠償保険金を支払う。「雇用慣行賠償責任補償特約」では、従業員に対する「不当解雇」「セクシャルハラスメント」「パワーハラスメント」等により、事業者が損害賠償責任を負うときに、賠償保険金を支払う。
農作業中の死亡事故は、全国で年間約350件発生しており、農業は他の業種に比べて危険性の高い業種とされる。また、農業法人等の従業員が業務中に死傷した場合、事業者が従業員に対する安全配慮義務を怠っていたときには、事業者が多額の損害賠償義務を負うというリスクもある。
JA共済連と共栄火災では、こうしたリスクに対応するため、「従業員の保障」に加え、「事業者の保障(損害賠償への備え)」についても、包括的に保障する同制度を構築することにしたとしている。