2017.09.26 損保5社が共同開発 口座情報登録サービス「レジペイ」、口座振替依頼書不要に
損保5社(三井住友海上、東京海上日動、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保、共栄火災)はこのほど、顧客のキャッシュカードを通じて口座情報の登録を行うサービス「レジペイ」を共同開発した。モバイル端末を使ってキャッシュカードから口座情報を読み取るもので、保険料のキャッシュレス支払いの8割を占める口座振替に必要な口座振替依頼書(申込書)の取り付けが不要になることから、契約者の利便性向上や代理店の業務効率化が期待できる。損保各社が共同でシステム開発を手掛けるのは、強制保険である自賠責保険のシステムを除くと初めてとなる。
「レジペイ」は、口座情報登録専用のモバイル端末を使って顧客のキャッシュカードから口座情報を読み取るもので、PCやタブレットなど損保各社の代理店システムを導入している機器と専用端末をBluetoothで接続して利用する。専用ウェブサイトを通じて3分ほどで登録が完了し、1台の端末で乗合各社の契約に利用できる。専用端末はパナソニック、口座情報登録時に利用する情報処理アプリは野村総合研究所が開発した。
購入価格は約4万円(税込)で、リース購入プランもある。個社単独で開発した場合に比べ、5社の共同開発・共同購入によってコストを圧縮し、価格の割引を可能にした。
現在、損保保険料の支払いは、口座振替、クレジットカード払、払込票払、請求書払といったキャッシュレスの払い込み方法が大半で、そのうち口座振替が約8割を占めるが、顧客が提出する口座振替依頼書の約15%で印鑑の相違や不明瞭、金融機関支店名等の誤りによる不備が発生しており、代理店などが顧客に書類の再取り付けを行っている。
同サービスを導入することで、顧客は口座振替依頼書の記入や提出、口座届印の確認が不要になり、書類の不備による再手続き等の手間や申込書紛失等による情報漏えいがなくなる。代理店にとっても、口座振替依頼書の取り付け、口座情報の登録処理業務がなくなる上、帳票管理が不要となる。
今回のサービスはもともと、損保協会企画部会傘下の事務検討PT(プロジェクトチーム)が「第6次中期基本計画(2012~14年度)」の中で議論していた「共通化・標準化の推進による消費者利便性の向上と業務効率化」案件が発展したもの。共同開発に手を挙げた5社が14年ごろから検討を重ね、今回の導入に至った。
各社では9月から委託代理店への案内を始めており、11月に申込受付サイトが開設され、申し込みがスタートする。実際の利用は来年3月からになる。
現在、5社以外の損保数社も参画を検討しており、18年4月以降に利用が可能になる見込み。また、損保系生保会社からも導入を希望する声が寄せられている。5社では今後、外部環境を注視しつつ、口座振替以外のクレジットカードやデビットカードによる支払い方法も含め機能拡充を検討していくという。
同サービスの開発に携わってきた三井住友海上営業事務部自動車・共通チームの花角英晃課長代理は「フィンテックなどⅠTをベースにしたサービスの進化が加速する中、今回の共同開発が、非競争分野において個社だけで対応できないことを保険各社で協力することで、お客さまや代理店の利便性向上、保険会社の業務効率化といったことに貢献できる取り組みを進めるきっかけになればと思っており、今後もさまざまなサービスの検討を進めていきたい」としている。