2017.07.11 損保協会発表 16年度決算概況、当期純利益 前年比8%増
損保協会はこのほど、加盟26社の2016年度決算概況を発表した。それによると、正味収入保険料は、火災保険の減収等により前年度比1.4%減の8兆2439億円となった。また、正味支払保険金は、熊本地震に係る地震保険の支払い等により同4.3%増加して4兆7675億円だった。当期純利益は、地震以外の自然災害の減少や責任準備金繰入負担の軽減等により同8%増益して、6155億円だった。
保険引受の概況では、正味収入保険料は、自動車保険が堅調に増収したものの、15年10月に行われた火災保険の商品改定による保険料単価の低下や、その商品改定前の増収の反動減などにより、全種目合計では前年度比1.4%減の8兆2439億円となった。
正味支払保険金は、16年4月に発生した熊本地震に係る地震保険の支払いなどにより、全種目合計で同4.3%増の4兆7675億円となった。
損害率は、地震保険の支払いが増加したことなどから、同3.5ポイント上昇の63.4%。なお、16年度中に発生した地震保険以外の自然災害による正味発生保険金は1754億円で、前年度に比べ約3割減少した。
熊本地震に係る保険金支払いの増加には、責任準備金の戻入れが充てられるため、原則として損益に影響しない仕組みとなっている上、16年度は、正味収入保険料の減収に伴い責任準備金繰入額が減少したことや、台風などの自然災害に係る保険金支払いが少なかったことなどから、保険引受利益は同2255億円増の3402億円となった。
事業費率は、前年度比増減なしの32.1%で、損害率と事業費率を合計したコンバインド・レシオは同3.5ポイント上昇し95.5%となった。
資産および資産運用の概況としては、16年度末の総資産は、株式や外国証券など有価証券の増加等により、同2.3%増の31兆5579億円。また、純資産はその他有価証券評価差額金等の増加により、同8.3%増の7兆3843億円となった。
資産運用収益は、1750億円減少し6617億円にとどまった。中核となる利息及び配当金収入は、同16.9%減の5127億円。一方、資産運用費用は、株式等の有価証券評価損の減少等により同196億円減少した。資産運用収益から資産運用費用を差し引いた資産運用粗利益は、同1554億円減益の5669億円となった。
保険引受利益の増益により、経常利益は同6.1%増の8431億円、当期純利益は同8%増益して過去最高の6155億円となった。
一方、ソルベンシー・マージン比率は、協会加盟会社全社が法律で求める水準を超えており、経営の健全性について問題のない水準となっているとしている。