2017.05.29 明治安田生命 2016年度決算、基礎利益グループ・単体とも増益
明治安田生命は5月25日、2016年度決算を発表した。それによると、日銀のマイナス金利政策を背景とする超低金利環境の継続を踏まえ、一時払の貯蓄性商品の予定利率引き下げや一部販売休止ならびに団体年金の引受抑制等、資産・負債の計画的なコントロールを実施し、保険料等収入は、「減収」となったものの計画通りの実績となった。基礎利益は、グループベース・明治安田生命単体ともに「増益」を確保。グループベースについては、16年3月に子会社化したスタンコープ社が貢献した。単体については、厳しい運用環境下、減益の見通しとしていたものの、危険差・費差の増加に加え、効果的な資産配分の実施等により利差の減少幅を抑えたことから、増益を達成した。
グループ保険料は、明治安田生命単体の影響を受け、2兆8663億円と前年度比15.2%減少した。グループ基礎利益は、スタンコープ社の貢献(240億円)等から、4962億円と同6.5%増加した。グループ基礎利益のうち、国内保険事業(明治安田生命単体と明治安田損害保険との合算)は、同2.9%増の4754億円となった。グループ業績に占める海外保険事業等の割合は、保険料等収入8.7%、基礎利益7.4%と順調に進捗(しんちょく)している。
連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末差15.2ポイント上昇し、998.9%と引き続き高い健全性を維持した。ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、4兆5288億円と前年度末差1兆1274億円増加した。
明治安田生命単体の業績では保険料等収入が同22.1%減の2兆6158億円となった。このうち個人保険・個人年金保険は同23.3%減の1兆6631億円だった。営業職員チャネルの平準払商品の保険料等収入は、同7.9%増の1兆2248億円と順調に伸展した。超低金利環境を踏まえ、一時払の貯蓄性商品の予定利率引き下げや一部販売休止ならびに団体年金の引受抑制等、資産・負債の計画的なコントロールを実施し、計画通りに進捗した。
新契約年換算保険料は、同2.7%減の1799億円となった。営業職員チャネルは、総合保障商品「ベストスタイル」に加え、「かんたん保険シリーズ ライト!By明治安田生命」等の販売好調により、1432億円と同12.7%増加した。銀行窓販チャネルは同37.9%減の339億円だった。第三分野新契約年換算保険料は「ベストスタイル」の新特約発売効果等によって、同0.6%増の365億円と引き続き増加傾向で推移している。
保有契約年換算保険料は前年度末比2.4%増の2兆2500億円となった。営業職員チャネルの新契約業績の伸展に加え、契約クオリティーの改善により、8年連続の純増となった。団体保険の保有契約高は同0.9%増の112兆9569億円で7年連続で純増し、引き続き業界トップシェアを堅持した。
基礎利益は、4723億円と前年度差124億円増加した。単体の基礎利益は、厳しい運用環境を受け減益の見通しとしていたものの、一時払商品の販売抑制等のリスクコントロールによる危険差の増加に加え、運用環境の好転や効果的な資産配分の実施等により利差の減少幅を抑えたことから、増益を達成した。平均予定利率は、前年度末から0.05ポイント低下し、1.92%と2%を下回る水準となった。
資産運用収支(全社)は、6440億円と前年度差358億円増加した。利息および配当金等収入は、市場動向に応じた効果的な資産配分や資産運用の高度化・多様化および国内外株式の配当金収入増加により、前年度差306億円増加の7214億円と新会社発足以降の最高額を更新した。
経常利益は前年度比5.8%増の3184億円、当期純剰余は同7%増の2338億円だった。
ソルベンシー・マージン比率は、基金の募集、国内劣後債の発行により、オンバランス自己資本の充実を図った結果、前年度末差7ポイント上昇し、945.5%と引き続き高い財務健全性を維持した。オンバランス自己資本は、2兆4641億円と前年度末差2747億円増加した。
一般勘定資産全体の含み損益は、株価上昇に伴い株式の含み益が増加する一方、内外金利の上昇により公社債および外国証券の含み益が減少したことから、前年度末差1298億円減少の6兆409億円となった。国内株式含み損益ゼロ水準は、8000円程度。
対面によって契約内容や請求有無を確認する「定期点検」等を通じた積極的なアフターフォローで、契約クオリティーを示す指標は引き続き良好に推移。解約・失効・減額率は、3.63%と前年度差0.18ポイント改善した。総合継続率は13月目が前年度差0.1ポイント低下し、95.6%、25月目が同3.5ポイント上昇し、90.2%でともに高水準を維持した。
16年度決算に基づく社員配当は個人保険・個人年金保険で総合保障商品について、配当率を一部引き上げ、団体保険・団体年金保険は、据え置く。
17年度業績は、グループ・単体業績ともに増収増益の見通し。超低金利環境下における積極的な資産の積み上げは将来の逆ざやや、国内金利上昇時のリスク増加につながる可能性があるため、計画的な資産・負債のコントロールを継続する一方、今夏に予定している外貨建て保険の販売や第三分野商品の拡販、スタンコープ社の貢献が業績を押し上げる見込み。
保険料等収入は、グループベースが3兆800億円程度(前年度比7.4%程度増加)、単体が2兆7800億円程度(同6.2%程度増加)とともに増加の見通し。基礎利益は、グループベースが5100億円程度(同2.7%程度増加)、単体が4800億円程度(同1.6%程度増加)とともに増益の見通し。企業価値(EEV)は、6%程度増加を見込む。