2017.05.15 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保、リスク評価システムを協働開発
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保はこのほど、インターリスク総研および米国大手自然災害リスク評価専門会社AIR World wide社(注)と協働で、洪水による被害を予測する新リスク評価システム(以下、新洪水モデル)を開発した。新洪水モデルでは、台風以外の梅雨前線や集中豪雨などによる洪水被害も予測できる。
従来のモデルでは、台風に起因する洪水被害のみに対応していた。今回開発された新洪水モデルでは、台風による洪水被害だけでなく、台風以外の梅雨前線や集中豪雨などによる洪水被害も予測可能になった。また、河川の氾濫による洪水被害に加えて、雨が排水されずに地表にあふれる都市型の洪水被害の予測や、台風に起因する風災と水災(洪水・高潮)を同時に計算することで、風水災による被害の総合的な予測ができるようになった。
総延長10万キロを超える河川、総面積33万8000平方キロに及ぶ2万以上の流域をモデル化するなど日本全国を網羅。両社が保有する全ての保険契約を対象とする被害予測ができる。
複数地点での被害を同時に計算できるため、顧客向けのコンサルティングサービスでも、全国の事業所を対象とした総合的なリスク診断等が可能となった。
また、確率的に作成した台風等の降雨イベントに基づいて、河川流量とそれによる洪水の浸水深を工学的に算出。洪水の発生頻度を考慮した被害予測を行う。
堤防の決壊や実測の河川断面、地形の細かな起伏、ダム・地下放水路(首都圏外郭放水路)などの治水施設も考慮しており、より精度の高い解析ができる。
今後は新洪水モデルを通じて、MS&ADインシュアランスグループ各社が保有する自然災害リスクの管理を高度化するとともに、商品開発や企業の顧客向けのコンサルティングサービスにも活用していく方針。グループ内のリスク管理には今年9月頃、顧客向けのコンサルティングサービスには2018年4月頃に順次導入する予定となっている。
同グループでは、今後も、被害予測モデルの活用を通じて、自然災害分野におけるリスク管理の高度化とコンサルティングサービスの強化を図る意向だ。
(注)AIR World wide社は自然災害のリスク評価における業界大手のモデル提供会社で1987年に設立。米国本社はマサチューセッツ州ボストン。