2017.02.20 金融庁、改正業法施行後の代理店の対応状況、ヒアリング結果を公表

 金融庁は2月16日、「改正保険業法の施行後の保険代理店における対応状況等について~保険代理店に対するヒアリング結果~」を公表した。金融庁と財務(支)局が平成28事務年度「金融行政方針」に基づき、2016年5月の改正保険業法の施行に伴い、保険会社や保険募集人において顧客本位の取り組みが行われているか、保険募集人(保険代理店)へのヒアリングを通じ、主に①「意向把握・確認義務」に係る創意工夫の事例②保険募集人の規模や業務特性に応じた体制整備の状況―に関して、その対応状況を確認した結果を明らかにしたもの。それによると、「意向把握・確認義務」について、「顧客の不安を解消すること」などの考えに基づき、創意工夫を行っている事例が認められた。体制整備の状況では、社内規則などについて、大規模な保険代理店は保険代理店自らが策定・制定し、小規模な保険代理店は保険会社などから提供された定型(サンプル)をアレンジしたものを使用している傾向が見受けられた。
 今回公表されたヒアリング結果によると、「意向把握・確認義務」については、顧客本位という法令の趣旨を踏まえ、形式的に「意向を把握する」という行為にとどまらず、顧客の意向に沿った対応を行うということは、「顧客の不安を解消すること」「顧客に安心を届けること」「顧客の人生に寄り添う金融商品を提供すること」などの考えに基づき、創意工夫を行っている事例が認められた。
 これらの創意工夫の事例については、必ずしも、法令などによって求められたものではなく、一定のコストや実務上の負担なども生じ得るものと考えられるが、保険代理店という立場から顧客本位を実質的に捉えた取り組みでもあると考えられるとしている。
 保険代理店の規模や業務特性に応じた体制整備の状況については、同ヒアリングでは、さまざまな規模や業務の特性を持つ保険代理店を対象としたが、その結果、例えば、社内規則などについては、大規模な保険代理店では保険代理店自らが策定・制定しており、小規模な保険代理店では保険会社などから提供された定型(サンプル)をアレンジしたものを使用しているという傾向が見受けられたという。
 また、業務管理面(業務の適切性の確認など)に関しては、大規模な保険代理店では専門部署(コンプライアンス部署、監査部署)を設置、中規模な保険代理店では専担者を配置、小規模な保険代理店では店主自ら、または全員で実施するといった体制を構築しているという傾向が見受けられたとしている。
 金融庁は同ヒアリングで、保険代理店が意向把握・確認義務を適切に履行するために、どのような創意工夫によって、顧客本位の取り組みを行っているか、その事例の把握に努めた。一方、保険募集人(保険代理店)の規模や業務の特性はさまざまであり、「自分には、どの程度の体制整備が求められているのか」といった水準感が必ずしもつかみ切れていないという声も寄せられたことから、同ヒアリングでは、さまざまな規模や業務の特性を持つ保険代理店における具体的な体制整備の状況の把握に努めたという。
 金融庁では、保険会社と保険募集人は、保険募集人の規模や業務の特性の他、顧客属性や保険商品の特性なども踏まえた上で、これらの事例を参考としつつ、顧客本位の観点から、今後も一層の取り組みが図られていくことを期待するとしている。
ヒアリングの実施概要は次の通り。
実施時期:16年10月27日~12月21日
 実施対象先:全国に所在する保険代理店(100先)
 実施者:内閣府金融庁(監督局保険課、検査局)、財務省財務(支)局、内閣府沖縄総合事務局