2025.04.11 T&DHD 欧州のクローズドブック生保事業買収に参加 ヴィリディウム(ドイツ)への出資を発表 フォーティテュード出資に次ぐ「もう一本の柱」

 T&Dホールディングス(以下、T&DHD)は3月21日、同社子会社のT&Dユナイテッドキャピタル㈱(磯部友康社長、以下、TDUC)が、 Allianz SE (以下、アリアンツ)および BlackRock, Inc. (以下、ブラックロック)と共に、ドイツの生命保険持株会社 Viridium Group GmbH & Co. KG (以下、ヴィリディウム)の株主である Cinven Limited Limited (以下、シンベン)のファンド等との間で、ヴィリディウムの買収に関する契約を締結したと発表した。関係当局の承認等を前提とし、25年後半の完了を予定している。
 ヴィリディウムは2014年の事業開始以来、ドイツで新契約募集を停止した状態の生命保険会社(クローズドブック生命保険事業)を4社買収し、その保険契約者は合計で約340万人、約5%の市場シェアを有し、691億ユーロの総資産を有している(23年末時点)。ドイツでは生命保険大手5社の一角を占めるとともに、生命保険コンソリデーターとしては、欧州大陸では上位2社、世界でも上位10社の一角を占めている。
 今回の取引で、シンベンは同社が保有するヴィリディウムの過半数持分を譲渡することになり、既存のヴィリディウムの株主である Generali Financial Holdings (以下、ゼネラリ)と Hannover Ruck SE (以下、ハノーバー・リー)は引き続きヴィリディウムの株主として残り、TDUC、アリアンツ、ブラックロック、ゼネラリ、およびハノーバー・リーがヴィリディウムを共同して所有することになる(以下、総称して「コンソーシアム投資家」)。
 本取引におけるヴィリディウムの取引価値は約35億ユーロ。本取引でTDUCは約1200億円(1ユーロ=163.72円換算)の出資を見込んでいる。本取引完了により、TDUCはコンソーシアム投資家の中で最大となる29.9%の持分を取得し、ヴィリディウムはT&Dグループの持分法適用関連会社となる。本取引に伴うT&DHDの25年3月期通期の連結業績予想に修正はなく、今後、同社連結業績への影響が生じることが判明した場合には速やかに公表するとしている。
 コンソーシアム投資家による共同リリースによると、ヴィリディウムは、現経営陣が主導する独立した単独のプラットフォームとして存続する。引き続き生命保険ポートフォリオの統合および管理運用に特化し、欧州の生命保険業界の長期的なパートナーとしての役割を果たしていく。コンソーシアムは、プライベートマーケット戦略を含む広範な資産クラスにおいて卓越した資産運用能力を有しており、ヴィリディウムが健全な財務基盤を維持しながら、保険契約者に対して魅力的なリターンを創出できるよう支援する。さらに、コンソーシアムが有する保険事業に関する高い専門性とヴィリディウムが有する効率が高くかつ拡張性のある最先端のITプラットフォームを組み合わせることにより、ヴィリディウムは細分化された欧州生命保険市場における成長機会を最大限に活用することが可能となる独自の地位を確立することになるとしている。
 T&DHDでは、「ヴィリディウムは、買収したクローズドブック生命保険事業を先進的なIT・オペレーション基盤に統合することによる効率性改善等を通じて、保険契約者にメリットを提供するとともに安定的な株主リターンを実現してきた。当社ではドイツとその他の欧州地域のクローズドブック生命保険事業の取引市場には大きな潜在成長性があるとみており、今後、ヴィリディウムが、アリアンツをはじめとするコンソーシアム投資家のサポートの下、当該地域での生命保険ソリューションの有力な提供者としてさらに発展することを期待している」と述べている。同社グループでは本取引を、 FGH Parent, L. P. P. (以下、フォーティテュード)への出資に次ぐクローズドブック事業投資の「もう一本の柱」と位置付けており、「フォーティテュードとの間での地域・ビジネスモデルの分散を通じて、グループ長期ビジョンで掲げる『事業ポートフォリオ多様化・最適化』の実現に大きく寄与するもの。引き続き持続的成長の実現を目指した取り組みを進めていく」としている。