2025.02.21 東京海上日動 企業のリスクマネージャー養成で研修サービス 「TMリスクマネジメントアカデミー」開講

 東京海上日動は3月から、企業向けの人材育成研修サービスとして「TMリスクマネジメントアカデミー」を開講する。企業内のリスクマネジメント専門家であるリスクマネージャーの養成に向けて、リスクマネジメントおよび保険ソリューションの活用にかかる体系的な知見と実務スキルを習得してもらうもの。本サービスの提供を通じて企業のリスクマネジメント態勢の高度化を支援していく。
 「TMリスクマネジメントアカデミー」は、リスクマネージャーの養成をサポートする教育研修プログラムで、リスクマネジメントに関わる高度な理論体系と実務スキルの双方を一気通貫で習得できる講座に加え、研修参加企業同士の情報交換、交流の場を提供する。ここで扱うリスクマネジメントとは、経営戦略と連動する「全社的リスクマネジメント(ERM Enterprise Risk Management )」を指し、あらゆるリスクを全社横断で管理し、各リスクを統一的な基準に基づいて評価するとともに、リスク移転の代表的な手段である保険の調達を経済合理性に基づいて最適化する実務を取り扱うものとしている。
 東京海上日動では、企業のリスクマネジメントの全体像を、▽戦略リスクと投機リスクの識別▽事業戦略の策定▽経営会議・取締役会での決議▽投資先の経営管理、投資対効果の検証▽市場リスク、与信リスク、流動性リスク等の管理▽事業部門への監査、モニタリングのとりまとめ―としたうえで、その中で保険リスクマネジメントについては、▽自社グループ内のリスクエクスポージャーの把握・評価・分析・モニタリング▽事業部門での損失回避・低減に関する活動の企画、実施遂行の補助、モニタリング▽リスクの保有・移転のアロケーション(=リスクファイナンス)に関する分析、意思決定の判断▽保険購買の意思決定、保険契約の保守管理▽リスク管理予算の準備▽事業部門に対するリスク回避・低減取組みの周知、研修トレーニングの企画・実施―と整理している。
 「TMリスクマネジメントアカデミー」は、リスクマネージャーが求められる広範囲かつ高度な知見・ノウハウに対応し、以下四つの特色を有している。
 ①リスクマネージャーの業務企画・遂行に必要な知識を体系的に習得:被保険者として習得すべき全社リスクマネジメント(ERM)のフレームワーク、リスクの識別・分析・評価、対処手段の検討に至るまでのフローに関する理論体系を習得できる。
 ②グローバル保険会社グループならではの最先端の知見の提供:全世界46の国・地域でオペレーションを展開し、主要な国際保険市場で事業を行う国際保険グループの一社として、国際(再)保険マーケットの最新トレンド、グローバル保険プログラムの運営に資する情報を共有する。
 ③経験豊富な企業リスクマネージャーを含む専門家との双方向な講義:各回に最適な講師陣として、著名企業で現職のリスクマネージャーを務める講師を含め、同社グループ外の専門家を招致し、受講者と双方向のセッションを通じて、実際の業務に生かせる“生きた”知見に触れることができる。
 ④参加企業・受講者ネットワークの提供:同じ目標、課題を持つ企業・受講者同士のコミュニケーションを促進することで、受講中だけでなく受講後も実務に役立つネットワークを提供。
 カリキュラムについては、リスクマネジメントに係る理論を学ぶとともに、ケーススタディやグループディスカッションなど以下の計8回の集合型研修を設定している。
 【入門編】①企業のリスクマネジメント原則と枠組み②リスクマネジメントと企業財務③コンプライアンス、危機管理対応④個別の重大なリスクへの対応
 【実践編】⑤企業リスクマネジメント実務⑥最適な保険調達⑦事故対応・損失低減の取組み⑧国際(再)保険市場のメカニズム
 同社では今回の教育研修プログラムの対象企業/受講者のイメージとして、「リスクマネジメント部門の強化を目指しており、専門ポストとしてのリスクマネージャーの配置・育成を検討している企業」「現在リスクマネジメント部門/リスクマネージャー業務に従事、またはこれから目指す個人」としている。
 受講スケジュールは3~10月で、25年度以降も順次開催予定。研修費用(税込)は1社あたり22万円(1人派遣の場合)。
 東京海上日動では「TMリスクマネジメントアカデミー」について、「近年、自然災害の激甚化や国際情勢の変化、サイバーリスクの急激な高まり等、外部環境の変化によって企業経営における不確実性が高まっている。加えて社会、資本市場からの要請として、企業統治、リスクマネジメント態勢にかかる説明責任が一層求められる傾向にある。そのような環境の中で、当社は2024年度から中期経営計画のキーコンセプトである「Re―New」のもと、企業のリスクマネジメントを支援することで、保険本来の価値で顧客に選ばれる会社の実現に取り組んでいる。企業経営において、高度かつ実効的なリスクマネジメント態勢を整備するためには、高い専門性を持つリスクマネージャーの存在が必要であり、欧米を中心に配置が進んでいる。一方、日本国内ではリスクマネジメントに関する専門的な知見を得られる機会・環境が不足していることから、リスクマネージャーを配置している企業はまだ少なく、リスクマネージャーの養成が大きな課題となっている。そうした課題認識を踏まえ、グローバルな保険事業を通じて培った知見を基に、企業のリスクマネージャー養成を支援する研修プログラム「TMリスクマネジメントアカデミー」を開講することにした」とその開講の背景を説明している。