2025.02.14 AIG損保 支払要件・補償内容をより分かりやすく 「環境汚染賠償責任保険」を改定

 AIG損保は、「環境汚染賠償責任保険」の改定(2025年2月1日始期以降適用)を実施した。主な改定ポイントは、「汚染浄化費用の保険金支払要件(トリガー)」と「汚染浄化費用の補償内容」について、環境汚染事故の発生から収束までの各フェーズでの保険金の支払いプロセスがより分かりやすくなるよう約款を変更した点。
 AIG損保の「環境汚染賠償責任保険」は、突発的に発生した環境汚染に加えて、長期にわたって拡大した環境汚染に起因する第三者賠償事故や汚染浄化費用を補償する商品。AIGの海外の知見を生かした分かりやすく柔軟な補償内容で、ニーズに合わせて特約を付保できる。また、原則として、告知書のみで引受可能、現地調査も不要となっている。
 この保険は1992年に同社が販売を開始し、30年以上の歴史がある。SDGs/ESG投資に代表される環境保全を意識した経営(環境経営)への取り組みが要請される中、ニーズが高まっており、保険料ベースで24年度は前年比15%増となっている。
 同社企業賠償保険部シニアアンダーライター環境保険統括の城智宏氏は、最近の状況について、「消防庁の統計データによると、設備の老朽化・人材不足などに伴い、危険物の流出事故は年間400件前後発生している。また近年では自然災害が増加し被害が甚大化するなど、リスクが複雑化している。そのような背景の中、環境汚染賠償責任保険においては、新特約をリリースするなどし、よりニーズに即した商品への進化を続けている。2020年7月には、洪水や高潮などによる環境リスクの高まりから、業界初の『洪水・高潮による環境汚染補償特約』をリリースした」と話す。
 今回の改定については、具体的には「汚染浄化費用の保険金支払要件(トリガー)」を、「第三者からの損害賠償請求の提起」「行政機関からの汚染浄化命令」のほか、「環境法規に基づく行政機関への届出もしくは報告」を約款に明記した。また、「汚染浄化費用の補償内容」についても、汚染浄化措置に「付随して行う調査」や、汚染浄化措置の完了後に実施する「事後モニタリング」を、汚染浄化費用の補償対象として明記した。
 同商品の拡販に向けては、代理店、直販社員を中心に、製造業や建設業で環境リスクのある顧客に提案をしていく方針だ。また、今後について城氏は、「環境関連法令の改正や環境意識の高まり、一部施設・設備の老朽化・人材不足など外的環境の変化に合わせて、AIGの知見を生かしながら、さらに商品を進化させていく」としている。
 同社では、国内の環境リスクのみならず、グローバル化する顧客に海外の環境汚染リスクについても日本から一元的に環境汚染賠償責任保険を提供するスキームもあり、引き続き、そうした「強みを生かした価値の提供」を行っていく考えだ。