2024.12.20 日本生命 4月1日付役員人事 新社長に朝日智司副社長 国内生命保険事業の成長目指す 清水博現社長は代表取締役会長に

 日本生命は12月18日、朝日智司代表取締役副社長執行役員を4月1日付で代表取締役社長社長執行役員とする人事を決定した。清水博現代表取締役社長社長執行役員は代表取締役会長に、筒井義信現代表取締役会長は取締役(7月開催予定の定時総代会終結時をもって取締役退任後特別顧問に就任予定)に就任する。同日、東京都千代田区の同社会議室で行われた記者会見で朝日副社長は、中期経営計画で掲げた「さまざまな安心を提供する“安心の多面体”としての企業グループ」の実現を目指し軸となる国内生命保険事業を強化する方針を示し、「日本生命グループのさらなる成長と業界全体の発展に心血を注いでいきたい」と述べた。
記者会見で清水社長は、今回の役員人事について、新しい事業領域がグループ内に拡大したことで、日本生命グループが新しいステージに入ったことを実感したとし、「新しい経営陣の新たな発想で取り組みを進めた方が、中長期的に発展できると考えた」と述べた。
 次期社長に朝日副社長を選出したことについては、冷静な分析眼や、自らアイデアを出す力、実行力といったリーダーの特質を持っていることが理由だとした。後継を選ぶ上で重視した点について、「“安心の多面体”の実現には、国内生保事業を着実に成長させると同時にさまざまな事業領域を広げていくことに対する課題意識と豊富なアイデアがあることが重要であり、朝日副社長はその両方を兼ね備えている」と説明した。
また、在任時を振り返り、“安心の多面体”が形よく成長するために重要な営業職員チャネルについて、コロナ禍の3年間はデジタルを活用しながら、顧客と同社をつなぎ続けるとともに新しい顧客を増やす取り組みを進めてくれたとし、「対面とデジタルを掛け合わせた営業活動や、保険コンサルティング以外のがん検診受診勧奨活動に代表される地域貢献活動など活動の幅を広げてくれた。こうした営業職員の活躍に感謝したい」と述べた。
朝日副社長は、社長就任の打診があった時の心境について、「責任の重さに震えたが、自分に果たす役割があるなら全力を尽くしたいと思いその場で快諾した。歴代の社長らの強いリーダーシップのもとで、日本生命および日本生命グループは、長期間にわたって業界のマーケットリーダーであり続けてきた。そのバトンを受け継ぎ日本生命グループのさらなる成長と業界全体の発展に心血を注いでいきたい」と抱負を述べた。
自身の強みについて朝日副社長は、生命保険事業に関する営業現場や契約事務部門までを経験しているということだと強調した。また、グループのビジョン「生命保険を中心とした安心の多面体」の実現には、軸となる生命保険と周りの非保険領域を拡大させることが重要になるとの考えを示した。
国内生命保険市場については、人口が減少しているものの、高齢者の健康維持への関心や相続問題などにより保険に対する期待は高まっているとの見解を示し、「社会や顧客のニーズに着実に応えていくことでマーケットは十分成長できる」との見解を示した。
 国内生命保険事業の強化に関しては、コロナ禍で営業職員と顧客の接点が不足したものの、デジタルの活用によって回復の兆しが見えてきたことから、今後はサステナビリティ経営の高度化を目指し、地域の社会課題を解決する役割を営業職員チャネルが担うことで、提供する価値を増大させ地域でのプレゼンスを向上させる取り組みを進める方針を示した。
 国内保険事業のバリューアップについては、特に保険離れが顕著になっている若年層との接点を増やすことも一つのポイントだとした。保険料負担の問題など保険加入にネガティブな印象をもっている一方で、資産形成や貯蓄については関心度が高く、資産形成に対するニーズは顕在化しているので、保険ならではの資産形成からアプローチしていくことを考えているとした。
 トップラインに対する考え方については、生保事業は多くの顧客が加入することで、経営が安定するため、それが顧客からの信頼の証になるとし、「生命保険業という性質上、規模にはこだわる必要があると考えているため、トップラインは維持し続けたい」と強調した。
 【朝日智司(あさひ・さとし)氏の略歴】1963年6月29日生まれ。87年3月京都大学経済学部卒業。同年4月日本生命入社。2008年3月同社総合企画部担当部長、10年3月同社営業企画部長兼総合企画部担当部長、11年3月同社営業企画部長兼営業人事部長、13年3月同社東京中央総合支社長、14年3月同社執行役員東京中央総合支社長、16年3月同社執行役員代理店営業副本部長兼金融法人副本部長、17年3月同社執行役員お客様サービス本部長、17年7月同社取締役執行役員お客様サービス本部長、18年3月同社取締役常務執行役員お客様サービス本部長、19年3月同社取締役常務執行役員、21年3月同社取締役専務執行役員、22年3月同社取締役専務執行役員地域総括部長兼人材育成推進本部長兼損保業務推進本部長、23年3月同社代表取締役副社長執行役員都心職域特別本部長兼地域総括部長兼人材育成推進本部長兼損保業務推進本部長、24年3月同社代表取締役副社長執行役員、現在に至る。