2024.11.29 東京海上HD 24年度第2四半期(中間期)決算 修正純利益7712億円で進捗率77% 通期予想を1兆400億円に上方修正

 東京海上ホールディングスが11月19日に発表した2024年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比16.0%増の4兆3421億円となった。正味収入保険料は同10.1%増の2億6979万円。連結経常利益は同239.9%増の9379億円で、中間純利益は同235.8%増の6885億円となった。グループの修正純利益は同4956億円増の7712億円。24年度通期の連結業績予想を修正し、経常利益1兆2400億円(前回発表時予想1兆2000億円)、親会社株主に帰属する当期純利益8800億円(同8700億円)、1株当たり当期純利益450円26銭(同443円57銭)とそれぞれ引上げた。
 グループの修正純利益は、国内損保事業の自動車保険の損害率悪化や海外過年度事故のディベロップの影響はあるものの、海外事業における好調な保険引受やインカム収益の増加、各事業で為替変動がポジティブに効いたこと、前期ハワイ山火事の反動等により、政策株式売却益を除くベースでは3590億円(年初予想対比進捗率59%、過去5年平均46%)だった。当該売却益を含めたベースでは前記の通り7712億円、年初予想1兆円に対する進捗率は77%(過去5年平均48%)だった。
 23年度第2四半期からの増減では、政策株式売却益の増加、前年度のハワイ山火事の反動等による増加が4028億円。国内損保事業は364億円の増加で、内訳は為替の影響が610億円、国内自然災害が▲11億円、その他(政策株式以外)が▲233億円。国内生保事業は円高進行(24年9月末)に伴う金融派生商品費用の減少等により69億円の増加。海外事業は494億円の増加で、内訳は為替の影響が202億円、自然災害が27億円、その他が265億円。
 修正純利益の通期予想(Actualベース)では、北米やブラジルで好調な保険引受や国内損保事業の自然災害の減少等を織り込む一方で、CREローン(米国の商業用不動産向け融資)に係るCECL(予想信用損失)引当等を踏まえ、政策株式売却益を含むベースでは売却加速を踏まえ年初予想対比+400億円の1兆400億円に上方修正し、政策株式売却益を除くベースでは▲820億円の5280億円に下方修正した。
 グループの正味収入保険料の内訳は、国内は前年同期比5.0%増(除く為替)の1兆3738億円で、火災・自動車での商品・料率改定効果により年初予想通りの増収となり、通期では引受厳格化等により対前年で3.7%増に修正した(年初予想は4.3%増)。海外は同6.6増(除く為替)の1兆3243億円で、Tokio Marine HCC、米フィラデルフィアを中心に、着実なレートアップや引受拡大等により基調は順調で、通期では対前年7.0%増を見込む(年初予想は7.1%増)。
 生命保険料は、国内は既契約の一部をブロック出再したことを主因に年初予想通りの減収となり、前年同期比102.6%減の▲56億円。通期では対前年52.7%減を見込む(年初予想は51.3%減)。海外は同10.3%増の3865億円。基調は好調で、通期では対前年8.4%増を見込む(年初予想は0.0%減)。
 国内損保事業で、東京海上日動の保険引受利益は前年同期比833億円増の548億円で、堅調なトップラインや自動車のロスコスト(頻度/単価)の上振れは想定の範囲内としている。進捗率は46.6%と過去5年平均(53.1%)対比ではやや低い進捗率となった。
 事業別利益は、同364億円増の659億円で、年初予想の1130億円に対する進捗率は58.4%(過去5年平均は37.0%)と、前記要因に加え円高の影響や想定を下回る国内自然災害等により進捗率は過去平均を大幅に上回って推移した。一過性の影響等(自然災害・為替)を除いたベースの進捗率は49.9%(過去5年平均は58.6%)で、資産運用も想定の範囲内としている。
 正味収入保険料は前年同期比4.6%増の1兆2766億円で、家計地震・自賠責を除いた民保合計では同5.8%増の1兆1810億円。民保計の年初予想に対する進捗はおおむね想定通りで、前年同期比では年初予想(4.7%増)を上回っているが、火災における24年10月のレートアップ前の契約増の影響が想定通りに発現したものと説明している。
 E/I損害率は年初予想をやや下回って推移し、前年同期比7.9ポイント低下の63.2%。事業費率は、社費率が順調なトップライン拡大等により年初予想をやや下回って推移した結果、同0.1ポイント低下し31.4%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同8.0ポイント低下し94.6%だった。
 資産運用等損益は、政策株式売却の好調な進捗や円高進行(24年9月末)を主因に、前年同期比5537億円増益の6909億円と、年初予想を大きく上回って推移。当期純利益は同4985億円増益の5961億円となった。
 日新火災の正味収入保険料は前年同期比11.7%増の829億円。保険引受利益は同32億円減益の▲38億円だった。経常利益は同29億円減益の▲29億円、中間純利益は同33億円減益の▲31億円となった。
 国内生保事業では、東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、主力商品の回払変額保険の販売が計画を上回る一方、競争激化による保障性商品の販売下振れ等により、年初予想を下回って推移し、前年同期比6.9%減の222億円となった。保有契約年換算保険料は前年度末比1.1%減の7710億円となった。当期純利益は前年同期比13.6%減の135億円。基礎利益は同11.6%増の192億円。事業別利益は年初予想を上回って推移し、同42.2%増の234億円(年初予想に対する進捗率55.8%)だった。
 海外保険事業の正味収入保険料は、北米拠点を中心に着実なレートアップ等により計画を上回って推移し、前年同期比14.8%増の1兆7067億円だった。このうち北米は同18.7%増の1兆1898億円、欧州は同21.1%増の1260億円、中南米は同0.9%増の1601億円、アジア・オセアニアは同7.2%増の1473億円、中東・アフリカは同15.5%増の243億円だった。事業別利益は、同24.5%増の2514億円。北米拠点におけるCREローンに係るCECL引当等(▲約240億円)の影響はあるものの、好調な保険引受やインカム収益、円安進行が打ち返し、事業別利益は計画を上回って進捗した。