2024.10.07 東京海上日動 がん罹患者も補償可能に 「がん治療と仕事の両立支援プラン」開発 企業の福利厚生制度として販売

 東京海上日動は企業の従業員を対象とする「がん治療と仕事の両立支援プラン」を開発し、10月1日始期契約から販売を開始した。がんに罹患(りかん)したことがある人も含めて従業員全員が加入できるようにした商品で、同プランの提供を通じて、がん患者の「治療と仕事の両立」と企業の「人的資本経営の推進」を支援するとしている。
 「がん治療と仕事の両立支援プラン」は、企業の福利厚生制度として導入しやすいように設計されており、①従業員全員への一律の補償提供:がんに罹患したことがある人についても補償可能(保険期間開始前に診断確定されたがんとは関係のない新たながんに限る。保険期間開始前に診断確定されたがんが再発または転移したと診断確定された場合は、治癒・寛解の有無にかかわらず補償対象外)としており、企業の従業員全員を被保険者とすることができる②簡便な手続きによる制度構築:企業が給付金支払実務等の体制整備を行う必要がなく、簡便な手続きによって福利厚生制度として導入できる―という点が特長。
 補償プランはがんに関する補償ラインアップの中から、企業の要望に応じたプランを設計できる。主な補償例として次の3プランが例示されている。
 ▽抗がん剤治療プラン(月額5万円/10万円):がんの治療のため抗がん剤治療を開始した場合に、治療を受けた月ごとに定額の保険金を支払う。
 ▽入院・手術プラン(入院日額1000円~3万円):がんの治療のため入院を開始した場合や手術を受けた場合に、定額の保険金を支払う。
 ▽先進医療プラン(上限100万円~1000万円):がんの治療のため先進医療を受けた場合に、先進医療にかかわる技術料について保険金を支払う。
 一つのプランのみまたは複数プランの組み合わせのいずれも契約可能で、これ以外の補償プランもあるとのこと。
 契約方式は企業を保険契約者・保険料負担者とし、その企業の従業員全員を被保険者とする団体契約。申込み時点で休職中の人は除くなど、引受けには一定の条件がある。
 保険料例(概算)は次のとおり(一人当たり保険料は、一般的な企業の従業員平均年齢である40歳代前半の保険料。保険料は保険金額や従業員の年齢等の契約条件によって異なる)。
 ▽抗がん剤治療保険金(保険金額月額5万円):年間約5640円/人
 ▽がん入院保険金・がん手術保険金(がん補償基本特約)(保険金額日額5000円):年間約2520円/人(がん入院保険金は保険金額(日額)に入院期間を乗じた額、がん手術保険金は手術の種類に応じて保険金額(日額)に倍率を乗じた額を支払う)
 ▽がん先進医療保険金(保険金額〈上限〉1000万円):年間約720円/人
 東京海上日動では同プランの開発について、「近年の医療技術の進歩によってがん患者の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることに対するニーズが高まっている。しかし、がん患者の従業員に働く意欲や能力があっても、治療と仕事を両立するための支援が充分でないなどの理由で、がんと診断を受けた人の約2割が退職などを余儀なくされている(注)。また、企業にとっても、がんに罹患した従業員が退職等を余儀なくされた場合は、貴重な人材が失われるだけではなく、代替人員の採用・育成等のコストも生じることから、従業員のがん治療と仕事の両立支援の重要性は高まっており、厚生労働省も企業における両立支援を推進している。当社も企業の従業員のがん治療と仕事の両立支援を推進するため、これまでも福利厚生制度等としてがん保険の提案を行ってきていたが、現在のがん保険はがんに罹患したことのある人は加入できないことから、全従業員へ一律の補償提供がかなわず、福利厚生制度として企業に導入を検討するうえでの障壁となっていた。そこでがんに罹患したことがある人も含めて従業員全員が加入できる本プランの販売を開始した」と説明。
 同社では本プランを「健康アシスト保険」(本紙8月21日付1面掲載)と組み合わせて企業に提供することで、発病前から発病後まで、従業員が末永く健康にいきいきと働けるための制度設計を支援するとしている。
 (注)国立がん研究センター「厚生労働省委託事業 患者体験調査報告書 令和5年度調査」