2024.09.30 損保ジャパン 個人用火災総合保険改定 リスク実態踏まえた保険料率に 建物水災料率を5区分に細分化

 損保ジャパンは10月1日から、個人用火災総合保険を改定する。今回は、2023年6月に改定された参考純率に基づき、自然災害の増加とリスク環境を踏まえた保険料改定を行う。保険料の改定幅は契約内容や建物の建築年月、構造によって異なる。また、参考純率の水災料率の細分化に伴い、企業分野商品(企業総合補償保険)同様に水災料率の細分化を実施する。細分化の単位は市区町村別で、区分数は5区分となる。同社の水災料率の細分化については建物のみが対象となり、家財の水災料率は細分化の対象外となる。さらに風災、ひょう災、雪災の自己負担額も改定する。
 今回の改定では、より同社のリスク実態に即した料率体系にするために築年数別の料率体系の見直しを行う。改定前は「築25年未満」の建物に対して「5年刻み」で異なる係数を適用していたが、今回の改定後は、「築49年未満」の建物に対して「1年刻み」で異なる係数を適用する。
 また、水災に関する料率については、地域のリスクに応じて細分化し、保険の対象となる建物が所在する市区町村別に保険料が最も安い「1等地」から最も高い「5等地」までの5区分とする。なお、参考純率では家財も水災料率細分化の対象であるものの、同社では、家財は細分化の対象外とした。
 風・ひょう・雪災の自己負担額の改定も行う。築30年以上または築年数不明の建物を含む契約において、自己負担額0円、1万円、3万円を選択した場合でも自己負担額は5万円が適用されるように改定する。築年数が古くなることに比例して支払う損害保険金が増加傾向であり、特に築35年以上になると保険金の平均支払額が増加していることから、社会インフラでもある火災保険を今後も安定的かつ持続的に提供し続けることを目的に、築30年以上の建物を含む契約を対象に引受条件の見直しを行うことにしたもの。
 また、無料の付帯サービスとして、日常生活や住居のトラブルに対するサービスを受けられる「すまいとくらしのアシスタントダイヤル」について、社会問題になっている空き家の「管理・活用・売却」に関して30分程度の一般的な相談に対応する「空き家相談サービス」を追加する。
 個人用火災保険の改定に伴い9月18日、同社本社でFP・報道機関向けの説明会を行い、個人用火災総合保険改定のポイントの他、同社のオリジナルツールや火災保険に加入するポイントを解説した。また、火災保険の保険金請求のポイントと特定修理業者に関する現状やトラブル事例、同社の取り組みについて説明した。
 オリジナルツールについては、公的機関等から入手した各種データや同社の保険金支払データベース等を活用して同社が独自に評価・分析・作成した総合的ハザードマップサービス「THEすまいのハザードマップ」を紹介した。
 火災保険に加入する際のポイントについては、建物と家財それぞれに火災保険をかけることの重要性を伝えたことに加え、十分な補償のために更改時に建物評価額や保険金額の見直しを行うことを社内や代理店に推進していることなどを報告した。
 火災保険の保険金請求のポイントについては、事故にあった際の初期対応や保険金請求手続きの方法、LINEによる保険金請求、「SOMPOたてものスマート見積」を説明。特にLINEによる保険金請求が24時間365日連絡が可能であることや、書類の記入やポスト投函が不要といった特長があることを強調した。
 特定修理業者については、22年度の悪徳住宅修理業者に関するトラブル相談件数は2124件で、中でも70歳以上の相談が約半数を占めていることから、同社ではLINE通知メッセージによる請求勧奨や住宅修理トラブル相談窓口の設置、住宅修理トラブル弁護士費用特約を個人用総合火災保険に自動付帯、優良な修理業者の紹介を行っていると説明した。
 この他、グループ子会社の少額短期保険マイシュアランス、同社が提供しているスマート賃貸火災保険やキャンセル保険、トヨタと連携したミニ車両保険の「愛車PROTECT」を紹介した。