2024.09.27 生保協会 定例会見 永島協会長がこれまでの取組状況を報告 マイナンバー利活用で協会スキーム整備 顧客本位の業務運営経営トップ主導の態勢高度化が重要

 生命保険協会の永島英器協会長は9月20日、東京都千代田区の同協会会議室で定例会見を開いた。会見では主に7月の協会長就任時の所信で述べた「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」に関する取り組みの進捗に加え、「国民一人ひとりの豊かな人生の実現」に係るマイナンバー制度の利活用促進や持続可能な社会の実現に向けた取り組みなどについて報告した。
 会見の冒頭、永島協会長は、台風10号の被災者にお見舞いの言葉を述べた上で、「被災地域が一刻も早く復興を果たすとともに、被災された方々が通常の生活を取り戻すことができるように生保業界としてもしっかりと支援していく」と述べた。
 次に、7月の協会長就任時の所信に関連する取り組みの経過を報告した。1点目の顧客本位の業務運営に関連する「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」については、今年2月に引き続き、会員各社へのフォローアップアンケートの実施に加え、代表者による意見交換会を開催するとした。
 また、銀行窓販における外貨建保険に係る対応については、生保各社向けにアンケートを実施することに加え、代表者による意見交換等、ガイドライン改善を踏まえた取引状況のフォローアップを行うと説明した。
 永島協会長は「『着眼点』に沿った営業職員の管理体制および外貨建保険のプロダクトガバナンス体制については、経営トップの主導による態勢の高度化が重要だと考えており、意見交換会を行う中であらためて意識の共有を行っていく」と述べた。 
 2点目の「国民一人ひとりの豊かな人生の実現」に向けた取り組みについては、保険教育とマイナンバー制度の利活用に取り組んでおり、保険教育については、「金融経済教育推進機構(J―FLEC)」の設立に加え、損害保険協会、生命保険文化センターとの連携調査を踏まえ、保険教育の高度化を目的とした第三者評価を行い、中長期的な取り組みを促進する考えを示した。
 次に、マイナンバー制度の利活用について、政府がデジタル社会の実現に向けて、マイナンバーカードの利用促進に取り組んでおり、マイナンバーカードの利活用に向けた利用者の理解向上が重要性を増してきていることから、一部の会員会社では、創意工夫のもと、公的個人認証サービスを活用し、顧客の利便性向上に資するサービスを展開していると報告した。
 一方で、公的個人認証サービスの利活用について会員会社の過半数がコスト面等を理由に利活用に取り組めていないという現状があると述べた。そうした点を踏まえ、本年度は、新たにサービスを導入予定の会員各社向けに、サービスを提供するシステムベンダーとともに、システムの共通仕様の設定や複数の会員会社でシステムの一括開発等を行う「協会スキーム」を整備し、会員各社のイニシャルコストの負担軽減を図り、サービス導入の後押しを行う。加えて、会員各社向けにマイナンバー制度に係る動向や行政・民間の取り組み状況等の共有を行う勉強会の開催を通じて、サービス導入・利活用の検討を支援する方針を示した。 
 3点目の「持続可能な社会の実現に向けた取り組み」については、会員各社の取り組みの後押しに向け、23年度に作成したハンドブックの更新や実務担当者向けの勉強会の実施に加え、業界のSDGs推進取り組みに関する情報提供ツールを作成し情報発信を行う考えを示した。
 質疑応答では、「生命保険業界の代理店出向者による情報漏えい事案に関する協会長の受け止めと今後の対応について教えてほしい」という記者の質問に対して、「金融庁と連携の上、不適切な情報取得状況等について実態把握を依頼する。まずは各社で実態調査を行うことが大切だと考えている。可能な限り速やかに実態把握を行った上で、業界としての対応を検討していく」と回答した。