2024.09.11 日本生命 外貨建一時払保険「ロングドリームGOLD3」 「顧客の最善の利益」追求に向けた対応発表

 日本生命は8月28日、外貨建一時払保険における「顧客の最善の利益」の追求に向けて、2025年4月から「ロングドリームGOLD3(ニッセイ指定通貨建積立利率変動型一時払終身保険)」について、目標値設定機能の廃止、販売手数料の改定を実施すると発表した。今後、同社の金融機関代理店に案内していく。金融庁によるリスク性金融商品の販売会社・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(中間報告)を受け、4月3日に生保協会では各種ガイドラインを改正し「顧客の最善の利益」に向けて留意すべき事項を明確化していたが、手数料体系を含む包括的な対応をリリースしたのは同社が初めてとなる。
 日本生命が全国の金融機関代理店を通じて販売している「ロングドリームGOLD3(ニッセイ指定通貨建積立利率変動型一時払終身保険)」は、より長く加入することで運用効果が期待できる商品となっており、全国の金融機関代理店とともに、顧客がより長く加入できるための取り組みをより一層進める観点で次の対応を行う。
 ▽目標値設定機能の廃止
 「目標値設定機能」は、保険契約者があらかじめ指定した目標額に解約払戻金の円換算額が到達したときに円建の保険契約に自動的に変更する機能だが、目標到達後の解約等により中長期での運用効果や保障メリットを享受しづらい実態となっているため、25年4月以降の新契約から「目標値設定機能」を廃止する。
 ▽販売手数料の改定
 金融機関代理店に支払う外貨建一時払保険の手数料について、顧客の中長期での保有ならびに金融機関代理店による契約後のアフターフォローを後押しする観点で、25年4月以降の新契約から初年度手数料を合計手数料の半分程度とし、次年度以降の比重を高める体系にリバランスする手数料型を新設する。
 あらためて日本生命の外貨建一時払保険における「顧客の最善の利益」追求に向けた対応をまとめると以下の通りとなる。
 ①想定顧客への適切な販売:重要情報シート(ひな形)に5年超の中長期の運用期間を確保できる人を想定顧客として明記(24年10月開始)
 ②投信等他の金融商品との比較:リスク・リターン・金融機関ごとの平均保有年数等の情報を金融機関代理店に提供(24年4月から順次提供開始)
 ③販売後のフォローアップ:長期の運用効果や保障メリットを享受しづらい実態となっている点を踏まえ目標値設定機能を廃止(25年4月以降の新契約から)▽既契約については、目標値設定されている既契約のリストを金融機関代理店に提供(24年4月から順次提供開始)
 ④販売会社に支払う手数料:次年度以降の比重を高めた新手数料体系を導入(25年4月以降の新契約から)▽既存手数料体系は、金融機関代理店が移行に必要な期間を踏まえ、廃止(26年3月末)
 なお、日本生命グループ各社も、現在販売中のその他外貨建一時払保険商品で、原則として日本生命の方針に合わせた各種対応を実施する予定。
 金融庁では、4月3日にリスク性金融商品の販売会社・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果の中間報告を公表(24年7月5日最終報告)、保険会社8社のモニタリングの結果では、外貨建一時払保険は、ターゲット型保険を中心に購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、組成時の長期運用前提の想定より契約継続期間が短期化し、解約等に伴い発生する費用が利幅を押し下げている状況がうかがわれると指摘していた。モニタリングの結果を基に、外貨建一時払保険の販売・管理等における態勢面で販売会社等に共通すると考えられる課題を指摘している。
 また、生保協会は4月3日に「市場リスクを有する生命保険の募集等に関するガイドライン」「金融機関代理店における重要情報シート作成ガイドライン」「生命保険商品に関する適正表示ガイドライン」を改正し、「顧客の最善の利益」に向けて、留意すべき事項を明確化している。
 一方、日本生命はこれまで、17年3月に「顧客本位の業務運営に係る方針」を制定、22年3月に改定、また、「顧客本位の業務運営」についての取組方針・取組状況を公式ホームページで開示するなど「顧客の最善の利益」に資する対応を進めてきた。今回の外貨建一時払保険への課題指摘についても、指摘の内容を真摯に受け止め、「顧客の最善の利益」に資する対応に努めていくとしている。