2024.08.07 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保 火災保険で新たに2特約開発 個人向け火災保険「建物省エネ化費用特約」 企業向け火災保険「再発防止費用補償特約」

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は7月8日、個人向け火災保険の特約として「建物省エネ化費用特約」を開発し10月から発売すると発表した。また7月11日、7月から企業向け火災保険で「再発防止費用補償特約」の販売を開始すると発表した。
 【省エネ基準適合住宅とするための追加費用を補償】
 10月から販売を開始する「建物省エネ化費用特約」は、2025年4月に改正予定の「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律)」に合わせ、住宅が全焼・全壊して再築等を行う際に、省エネルギー基準(以下、省エネ基準)に適合させるための追加費用を補償するもの。三井住友海上は「GKすまいの保険」、あいおいニッセイ同和損保は「タフ・すまいの保険」の特約として販売する。
 建物の損害に対して損害保険金が支払われ、その損害が「全焼・全壊」に該当した場合に、保険の対象である建物を「省エネ基準適合建物(建築物省エネ法に定める省エネ基準に適合する住宅)」に建て替えまたは買い替え等を行う費用として、建物保険金額に10%を乗じた額(1回の事故につき、1敷地内ごと100万円限度)を支払う。
 日本では、2050年カーボンニュートラル実現に向け、エネルギー消費量の約3割を占める建築物に対する省エネ取組が急務となっており、22年6月には建築物省エネ法の改正が公布され、25年4月以降すべての新築住宅は省エネ基準適合が必須となる。省エネ基準の適合には「断熱等性能等級4以上」「一次エネルギー消費量等級4以上」などを充足する必要がある。一方で、火災保険の損害保険金は再調達価額基準(損害が発生した時の発生した場所における保険の対象と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得するのに必要な金額)で算定されるため、全焼・全壊して再築等を行う際、省エネ基準適合のために追加費用が生じることが想定される。そこで、省エネ基準不適合の従来の住宅と同一性能の建物の再築・再購入費用から省エネ基準適合住宅とするまでの追加費用(例:断熱材、窓ガラス、冷暖房設備、給湯設備の仕様変更費用等)を補償するものとして同特約を開発した。
 両社は、今後も脱炭素社会の実現に向けた環境変化に対応する新たな保険商品・ソリューションの開発・提供を行うとしている。
 【大口事故再発防止のための追加費用を補償】
 また、7月から企業向け火災保険で販売を開始した「再発防止費用補償特約」は、企業の敷地内で火災・爆発等の大口事故が発生した際、事故の再発防止のために顧客が負担した費用を補償し、企業の自発的な再発防止取り組みを支援するもの。三井住友海上の「プロパティ・マスター(企業財産包括保険)」とあいおいニッセイ同和損保の「企業財産包括保険」が対象商品となる。
 補償内容は、保険の対象の敷地内において、火災・爆発等による大口事故(損害保険金の支払額が1000万円以上)が発生した際、従来の火災保険で補償する損害保険金や費用保険金に加え、事故の再発防止のために顧客が支出した追加の費用(最大5000万円)を支払うもの。
 再発防止取り組みの例として、▽火災事故が発生した工場建物内に、事故発生前には未設置だったスプリンクラー設備を復旧時に新たに設置した▽爆発事故が発生したプラント設備に、事故原因となった配管の異常を事前に検知するため、センサー等のIoT機器を新たに設置した―がある。
 「追加の費用」については、MS&ADインターリスク総研が顧客の再発防止対策を確認・認定のうえ、認定された再発防止費用を同特約で補償することで、より効果的に企業の中長期的な防災・減災取組を支援する。
 両社では「大規模な工場を中心に、老朽化した建物・設備の火災や爆発等による被害が年々増加する傾向にあり、事故の再発防止や被害軽減に向けた取り組みの重要性が高まっている。一方で、従来の一般的な火災保険は、事故発生時に『元の状態に復旧するための費用』を補償するものであり、再発防止に要する追加費用を補償していないことから、企業の自発的な再発防止取り組みを促すことができていなかった。そこで、これまで以上に企業の防災・減災取り組みを支援するため、同特約を販売することにした」としており、今後も、新商品・サービスの開発・提供を通じて、企業の効果的な防災・減災取り組みを支援するとしている。