2024.07.26 生保協会 永島新協会長が所信表明 持続可能な社会を未来へ 軸となる三つの取組方針示す

 生命保険協会の第62代協会長に就任した永島英器氏(明治安田生命社長)が7月19日、東京都千代田区の生保協会会議室で就任会見を行い、所信を表明した。生命保険業界として、国民一人ひとりの豊かな人生に寄り添いながら、持続可能な社会の実現に貢献し、これからの時代を担う未来世代へ社会をつなぐために、①顧客本位の業務運営の推進②国民一人ひとりの豊かな人生の実現③持続可能な社会の実現―の三つを軸に取り組みを進める方針を示し、「時代の転換点の中であっても生保業界の社会的使命を果たし持続可能な社会に貢献するために、1年間全力で諸課題に取り組んでいく」と決意を表した。(本日付2面に永島新協会長の所信全文を掲載)
 会見で永島協会長は、軸となる取り組みの一つ目の顧客本位の業務運営の推進について、顧客に確かな安心を届けるという生保業界の社会的使命を果たすために最も重要だとした上で、23年2月に公表した「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」の好取り組み事例を共有することで、会員各社の取り組みの高度化に貢献すると述べた。
 また、外貨建一時払保険における販売・管理態勢については、24年4月に実施した各種ガイドラインの改正を踏まえ商品組成会社の保険会社および販売会社の金融機関の取り組みをフォローアップすることで、各社の取り組みを支援していく考えを示した。
 二つ目の国民一人ひとりの豊かな人生の実現に向けた取り組みについて、生保協会はこれまでに「自助」の大切さに加え、「自助」「共助」「公助」を適切に組み合わせることの必要性を国民に理解してもらえるように保険教育に関する教材や動画コンテンツの作成に取り組んできたと述べた。今年度は、23年11月に締結した損害保険協会と生命保険文化センターとの 「保険教育に関する包括連携協定」を軸に、教材等の作成や情報提供機会拡充など新たな取り組みについて、3者で連携・共同して検討を進める考えを示した。
 また、政府がマイナンバーカードの利活用促進に取り組んでいることから、生保協会でも、デジタル技術の活用やマイナンバー制度の利活用による顧客の利便性向上に向けた取り組みを促進しているとした上で、今年度は、各種のマイナンバー制度利活用に向けた取り組みを後押しすることで、保険契約に係る各種手続きの効率化を促進し、デジタル社会の実現に貢献する考えを示した。
 三つ目の持続可能な社会の実現に向けた取り組みについては、気候変動をはじめとしたさまざまな社会課題が顕在化している中で、生保業界は生活基盤となる社会や環境を維持するとともに将来を担う「未来世代」に持続可能な社会をつなぐ使命があると述べた。
 そうした観点から、生保会社には、生保事業を行う事業会社と、約400兆円の総資産を保有する責任ある機関投資家という二つの側面から、持続可能な社会の実現に向けて役割発揮が求められていると強調。今年度は、SDGsの推進に取り組む各社向けの情報提供の継続に加え、生保業界の持続可能な社会への貢献に向けた取り組みを顧客に理解を深めてもらえるように対外周知にも取り組むとした。
 また、生保業界は、機関投資家として、国民生活を支えるインフラ基盤や成長分野への投融資を通じて、日本の経済活動の発展に貢献してきたことから、今後もESG投融資やスチュワードシップ活動を通じた投融資先企業の企業価値向上を後押しすることに加え、資産運用立国実現プランにおける金融・資本市場の活性化等への貢献に向けた取り組みを推進し、積極的に発信することで、持続可能な社会の実現に向けてさらなる役割を発揮していく方針を示した。
 この他、税制面で国民が必要とする多様な生活保障の準備を支援・促進するために、生命保険料控除制度の拡充を引き続き要望していくとした。また、かんぽ生命の業務範囲の拡大や加入限度額の引き上げ等については、中長期的に消費者利益を向上させるために公正な競争条件の確保が不可欠との考えのもと、市場への影響等を見極めながら、必要に応じて意見を表明していく考えを示した。
 また、国際金融規制や国際会計基準、国内規制のあり方等について、日本の生保事業の特性を踏まえた検討を進め、積極的に意見を発信することに加え、生保協会の国際活動について国内外に周知していくと述べた。
 最後に「三つの取り組み軸に加え、生保業界がお客さまから信頼を維持し健全に発展していくための基盤整備に継続して取り組んでいく」と決意を表した。