2024.07.25 富国生命 第102回定時総代会開催 米山社長「今後も経営の差別化徹底」 個人保険分野は12年連続の増配
富国生命は7月2日、東京都千代田区の本社ビルで「第102回定時総代会」を開催した。2023年度の事業概況や業績などについて報告した他、23年度剰余金処分案承認の件や社員配当準備金分配の件、定款一部変更の件など5議案の決議事項を審議し、全て承認された。米山好映社長は、「最大たらんよりは最優たれ」という同社の経営方針にのっとった経営の差別化が、強固な自己資本に基づく健全性の高さや個人保険分野における12年連続の増配案につながっているとの考えを示し、今後もこれを徹底していくとの方針を示した。
23年度の事業報告では、経営理念の「契約者の利益擁護」「社会への貢献」「働く職員の自己実現」に基づき「お客さま基点」の業務運営を遂行した他、次代の相互扶助を表す企業コンセプト「THE MUTUAL」の実現に向け、各種プロジェクトに取り組んだことを紹介した。
中期経営計画(22~24年度)については、事業変革の基盤固めと多様化する社会課題の解決に向けた取り組みの推進を通じて、持続的成長のための好循環を構築することで長期経営ビジョンである「お客様満足度ナンバーワンの生保会社となる」の達成につなげていくとし、おおむね予定通りの進捗だと報告した。
顧客本位の業務運営方針については、評価指標として契約者アンケートの他者加入推奨意向を準用し経営改善に生かしながら、顧客の要望に応じたサービスを展開しているとした。その具体例として、マイナンバーの取得について、保険金等の支払い後に支払調書を迅速に作成できるよう、新契約成立時に顧客のスマートフォンを活用して電子的に取得できるようにしたことや、契約手続き時に保険料振替口座を登録する際、「お客さまアドバイザー」が所持している携帯情報端末を通じてウェブ登録ができるようにしたことなどを挙げ、顧客の満足と信頼の向上に取り組んでいるとした。
商品・サービス面では、柔軟性の高い商品体系の構築を進めているとし、23年4月に学資保険「みらいのつばさ」、24年4月には個人年金保険「みらいプラス」について、市中金利の動向を踏まえ、保険料率の引き下げを実施したことを報告した。また、医療保険「ワイド・プロテクト」とセットで加入できる、セコム損保の自由診療保険 「メディコムプラス」において、がんの外来治療に対する保障の拡大をはじめとする商品改定も4月に実施したとし、今後も「お客さまアドバイザー」によるコンサルティングを通じて、顧客のリスクを的確にカバーする商品の提供に努めていくと説明した。
企業保険分野でも、新団体医療保険における「健康経営配当」の実施、病状に応じた適切な治療やセカンドオピニオン取得のための専門医を紹介するサービスの追加といった「あんしん健康相談ダイヤル」のリニューアル等を推進し、顧客の多様なニーズに応じた商品・サービスの提案を行っているとした。
社会貢献活動については、訪問&チャリティーコンサートや、障がいのある子どもたちのアート作品展示会「すまいる・ぎゃらりー」、東日本大震災の被災地を応援する特産品販売会など、さまざまな活動を行っていると報告した。
この他、実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けた取り組みや、リスク管理委員会による適切なリスク管理、コンプライアンス・プログラムに基づく実践的な研修などについて説明した。
23年度の業績に関しては、中高齢層を中心に保険契約の見直しが増えたことにより、個人保険・個人年金保険の新契約高が前年対比17.2%減の約1兆1600億円となったことや、第三分野における個人保険・個人年金保険の保有契約年換算保険料が前年対比0.2%増の1167億円となり、開示以来20年連続で増加していることなどを報告した。
23年度決算における配当還元については、契約者の期待に応え、増配する案としたと報告した。創業100周年を迎えたことを記念して「100周年記念配当」を実施するとともに、個人年金保険の保険料率の引き下げに伴う調整配当に加え、足元の金利上昇にキャッチアップした増配など、貯蓄性商品に対する利差配当の増配を行ったとし、これにより個人保険分野は12年連続の増配になると説明した。
23年度貸借対照表・損益計算書では、総資産が国内外の株価上昇や円安により時価評価額が大きく増加し、4156億円増の7兆6418億円と過去最高額になったことや、資産運用収益における利息及び配当金等収入が73億円増の1721億円となり、こちらも6年連続で過去最高を更新したことなどを報告した。
相互会社制度運営に関する報告の後、米山社長が同社の課題への対応について説明した。「最大たらんよりは最優たれ」という同社の経営方針にのっとった経営の差別化が、強固な自己資本に基づく健全性の高さや個人保険分野における12年連続の増配案につながっているとの考えを示し、今後もこれを徹底していくとの方針を示した。
また、死亡保障・第三分野・貯蓄性商品を総合的に提案して顧客のニーズに応える生命保険会社を目指し、地域に密着した「Face to Face」の活動を行う「お客さまアドバイザー」の育成に注力して営業職員体制の質的強化を図ると同時に、顧客の利便性と営業職員の生産性向上に向け、ITの活用を組み合わせた効果的な営業活動を推進していくとした。
経営の健全性の維持については、自己資本・リスク・リターンの好循環を構築することで、確実な保険金支払いと配当還元による実質的な保険料負担の軽減を実現するとして、「保険会社としての責務と相互会社としての使命を果たすために、これからもお客さまの利益を守ることを考え、着実な成長を追求していく」と述べた。
報告終了後は、総代から寄せられた若年世代向けの商品開発、長期加入者への優遇措置、BCP(事業継続計画)などに関する事前質問に対し、米山社長や各担当役員が丁寧に回答した。