2024.07.09 東京海上日動、Finatext バックオフィス業務の組込型保険を共同開発 SmartHR:「雇用トラブル対応保険」 フリー:「freeeお店のお守り保険」

 東京海上日動、Finatextはこのたび、スタートアップや中小企業向けに、人事総務や法務、会計などのバックオフィス業務のシステムに組み込んで保険加入できるプロセスを共同開発し、㈱SmartHR(東京都港区、芹澤雅人代表取締役CEO)とフリー㈱(東京都品川区、佐々木大輔CEO)の両社がそれぞれのサービス上で加入できる保険を6月からユーザー向けに提供を開始した。
 東京海上日動とFinatextはこれまで、SaaS型デジタル保険システム「Inspire」を活用し、組込型で提供する保険加入プロセスの共同開発に取り組んできた。昨年5月には、㈱GA technologies(樋口龍代表取締役社長執行役員CEO)が提供するオンラインの投資用不動産サービス上で組込型の火災保険に加入できるプロセスを実現している。
 今回両社は、スタートアップや中小企業において素早くスムーズに必要な保険に加入できる環境の構築を目指し共同開発に至った。協業では、バックオフィス業務のシステム上で加入できるスタートアップ・中小企業向け組込型保険を実現した。
 同保険の特長は、▽スタートアップ・中小企業向けにシンプルで安価なプランで提供▽業種と年間売上高を入力するだけで即時に保険料の見積もりを表示し見積もりから加入手続きの完了まですべてオンラインで完結できる▽ユーザーの手続き画面を組み込み先の業務システムに合わせてカスタマイズすることでシームレスな顧客体験を実現―などで、同商品の提供によってオンライン上でシームレスな顧客体験の提供が可能となり、顧客の利便性の向上に加えて手続き漏れなどのリスクの低減も見込めるという。
 SmartHRで提供する商品は「雇用トラブル対応保険(雇用関連賠償責任担保特約条項付帯施設賠償責任保険)」で、同社のクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を利用中の企業が提供対象。セクハラ・パワハラ・マタハラや不当解雇等の労働条件に関するトラブルによって労働者が精神的苦痛等を受けた場合に、企業が負う損害賠償金および争訟費用などの賠償リスク等を補償する。また、損害賠償請求だけでなく解雇の無効を請求する地位確認請求の争訟費用も補償の対象となる。
 保険金支払いの対象例として、▽上司からのパワハラで精神的な苦痛を受けたとして、従業員から損害賠償請求を受けた▽採用担当者からセクハラを受けたとして、就職活動中の学生から損害賠償請求を受けた▽不当な理由により解雇され名誉を毀損されたとして、元従業員から損害賠償請求を受けた―を挙げている。
 年間保険料の例として、最も低額な「卸・小売業」が売上高3000万円で2万3280円、売上高1億円で3万1800円、売上高5億円で7万4160円。最も高額な「医療福祉業」が売上高3000万円で4万1880円、売上高1億円で6万6960円、売上高5億円で19万230円としている。
 フリーで提供する商品は、超ビジネス保険(フリーにおけるサービス提供名は「freeeお店のお守り保険」)で、施設の管理・仕事の遂行に起因する対人・対物事故に備える補償と、製品・商品や仕事の結果に起因する対人・対物事故に備える補償等を提供する。賠償トラブルだけでなく、自社が被害を受けた場合の弁護士への法律相談費用等もカバーする。保険料は月あたり255円からで、スモールビジネスでも加入しやすい保険料水準としている。
 今後、東京海上日動は組込型保険の利便性を生かし、スタートアップや中小企業との接点強化に取り組むとともに、これらの企業に対して保険代理店による専門性の高いコンサルティングも提供していく。Finatextは今回の開発プロジェクトの始動から約5カ月での販売開始を実現した「Inspire」の提供を通じて、東京海上日動を支援していく。
 両社は今後も、生活者向けと企業向けの両マーケットで、世の中のニーズに応える新たな保険加入プロセスの開発に共同で取り組んでいくとしている。