2024.06.11 フコク生命グループ 2023年度末決算 基礎利益過去最高の995億円 12年連続で増配、団体年金配当率引き上げも

 フコク生命グループが5月23日に発表した2023年度決算によると、2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約年換算保険料は前年度比6.6%増となり3年連続で増加した。富国生命の学資保険と養老保険、フコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売が好調だった。2社合算の基礎利益は、前年度から倍増の995億円となり過去最高となった。また、個人保険は12年連続の増配(利差配当の増配と100周年記念配当)になったことに加え、企業保険分野の確定給付企業年金(DB)の配当込み利回りを1.6%から1.8%に引き上げた。
 2社(富国生命とフコクしんらい生命)合算の個人保険・個人年金の新契約高は、富国生命で主力商品販売内訳で特に中高齢層の保障額が減少する保険契約の見直しが増えたことが主な要因となり、前年度比11.6%減の1兆4738億円となった。うち富国生命は同17.2%減の1兆1666億円、フコクしんらい生命は同19.3%増の3071億円となった。  新契約年換算保険料は、フコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売増加を主因に同6.6%増の315億円となった。うち富国生命は同0.4%減の141億円、フコクしんらい生命は同13.0%増の174億円。合算の解約失効高は同4.8%悪化し1兆2088億円、同解約失効年換算保険料は同9.4%悪化し140億円となったものの、いずれもコロナ禍前よりも良好な水準を継続している。2社合算の保有契約高は前年度末比1.8%減の26兆909億円で、うち富国生命は同2.4%減の23兆7583億円、フコクしんらい生命は同5.2%増の2兆3325億円。フコクしんらい生命は2年連続の増加となった。合算の保有契約年換算保険料は個人年金の支払満了による貯蓄性商品の減少が主な要因となり同1.1%減の5436億円。うち富国生命は同1.3%減の3648億円、フコクしんらい生命は同0.8%減の1787億円。合算の第三分野は同0.3%増の1187億円で開示以来20年連続の増加となった。
 2社合算の保険料等収入は、前年度比0.3%減の7583億円となった。うち富国生命は同6.6%減の4914億円、フコクしんらい生命は同13.8%増の2668億円。フコクしんらい生命の金融機関による実績は、貯蓄性一時払商品の販売実績(収入保険料)は利率更改型一時払終身保険の販売が好調に推移し前年度比9.2%増の1964億円、保障性商品の販売実績(年換算保険料)は1億3600万円だった。
 富国生命単体の資産運用状況では、強固な自己資本に裏付けされたリスク・テイク戦略を引き続き推進し、為替ヘッジコスト率の高止まりによって収益性が大きく低下したヘッジ付外債の削減を引き続き行い残高をゼロとする一方で、海外の長期金利が大幅に上昇したことからオープン外債を積み増した。また、プライベート・エクイティ・ファンドなどオルタナティブ資産も分散投資の観点から積み増した。さらに国内の超長期金利の上昇を受け超長期国債の積み増しを行った。
 ヘッジ付外債は、為替ヘッジコスト率が上昇しはじめた22年1月から削減を開始し、23年上半期には残高をゼロにした取り組みによって為替ヘッジコストを大幅に削減した。また、円高局面を捉え為替のヘッジを外したことやオープン外債への入替を行ったことで、外貨建公社債の含み益は、海外金利の上昇による減少分を円安効果が上回り前年度末から1579億円の大幅増加となった。 利差益および含み損益については、利息及び配当金等収入は内外株式からの配当の増加等により6年連続で過去最高を更新したことに加え、為替ヘッジコストを前年度から大幅に圧縮したことにより基礎利益上の運用収支等の利回りは2.74%まで高まった。平均予定利率は、追加責任準備金の積立効果もあり、1.65%に低下しその結果、利差益は前年度比177億円増加の595億円と過去最高となった。
 有価証券・不動産の含み益は前年度末比47.1%増の1兆1272億円。外国公社債の含み益が円安効果によって増加、株式や外国株式等の含み益も内外株価の上昇によって増加した。
 2社合算の基礎利益は、新型コロナに係る給付金等の大幅な減少によって保険関係損益が342億円に回復したことで、前年度比2倍の995億円。うち富国生命は同96.7%増の930億円、フコクしんらい生命は同4.3倍の65億円だった。
 富国生命単体で、余剰財源を全額危険準備金に超過繰入したことで、臨時損益が▲526億円で前年度(▲216億円)から拡大した結果、経常利益は前年度比51.8%増の493億円。当期純剰余は同28.9%増の397億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、株価上昇や円安等の他、有価証券評価差額金の増加、内部留保の積み上げや劣後債の再調整等が主因となり、前年度末比17.8ポイント上昇し1189.7%。経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、同13.0ポイント上昇し258.2%だった。
 23年度末の社員配当については、個人保険分野で12年連続の増配となり、100周年記念配当・配当額は54億円で、配当が割り当てられる契約は有配当契約の83%に相当する293万件が対象となった。