2024.05.28 MS&ADHD 23年度末決算 純利益75%増3692億円で過去最高 海外正味収保32%増1兆2336億円に
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月20日に発表した2023年度通期決算によると、連結経常収益は前期比25.2%増の6兆5728億円、連結経常利益は同42.5%増の4164億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同75.0%増の3692億円で過去最高益となった。グループ修正利益は同1577億円増益の3799億円。連結正味収入保険料は、海外保険子会社が32.2%増と大幅増収したことを主因に同8.4%増の4兆2617億円を計上した。24年度の通期業績予想では、正味収入保険料を7.9%増の4兆6000億円、経常利益を109.2%増の8710億円、当期純利益を65.2%増の6100億円、1株当たり当期純利益を384円70銭、グループ修正利益を2500億円増益の6300億円と見込む。
連結当期純利益3692億円の内訳では、国内損保(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)は、異常危険準備金が+70億円、資産運用損益・その他が+826億円の一方、保険引受利益(異常危険前)が▲42億円、その他が▲126億円となった結果、国内損保計は727億円の増益。国内生保会社は、三井住友海上あいおい生命が新型コロナによる給付金等の減少等により増益、三井住友海上プライマリー生命が前期と同水準となったことなどにより154億円の増益。海外保険子会社は、保険料増収効果に加え、MSアムリンでの収支改善と自然災害ロスの減少、アジアでの保険サービス損益の好調等により872億円の増益。その他(金融/リスク・連結調整等)が▲171億円となった結果、当期純利益は前期比1582億円の増益となった。グループ連結の修正利益3799億円は、昨年11月発表の通期予想2800億円を999億円上回り、ゴールしたもの。
自然災害ロスについては、国内は7月群馬雹災の影響が大きく、前期比160億円増加し1134億円。海外の自然災害ロスは同13億円増加し492億円だった。
国内損保2社の業績で、正味収入保険料は、火災保険の前年の大幅増収の反動や自賠責保険の料率引下げの影響があったものの、海外子会社等からの受再保険の増収等により、2社合計で前期比0.9%増の2兆9922億円となった。保険引受利益は、自動車の保険金支払(事故件数の増加、保険金単価の上昇)や国内自然災害ロスが増加した一方、既経過保険料の増加や新型コロナ関連ロスの剥落があり、同27億円増の▲124億円。資産運用損益他は、利配収入の増加や政策株式売却による有価証券売却益の増加等により、同826億円増の3058億円。
三井住友海上単体の正味収入保険料は前期比0.4%減の1兆6233億円。正味損害率は同1.3ポイント上昇し65.6%、正味事業費率は同0.2ポイント上昇し32.7%、コンバインド・レシオは同1.5ポイント上昇し98.3%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同0.5ポイント上昇し67.6%となった。
あいおいニッセイ同和損保単体の正味収入保険料は前期比2.5%増の1兆3689億円。正味損害率は同0.2ポイント低下し66.4%、正味事業費率は同0.4ポイント低下し34.2%、コンバインド・レシオは同0.6ポイント低下し100.6%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同4.5ポイント上昇し73.1%となった。
三井住友海上単体の経常利益は前期比51.8%増の2143億円、当期純利益は同55.5%増の1677億円となった。また、あいおいニッセイ同和損保単体の経常利益は同18.4%増の790億円、当期純利益は29.8%増の560億円となった。
ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前期末比6.8ポイント低下し691.1%、あいおいニッセイ同和損保が同50.5ポイント低下し780.3%となった。
国内生保子会社の保険料等収入は2社合計で前期比2030億円増の2兆419億円、当期純利益は同154億円増の478億円だった。
三井住友海上あいおい生命の保険料等収入は、積立利率変動型終身保険の払込満了増加や逓増定期保険の保有減少等により、前期比139億円減の4751億円。新契約年換算保険料は同0.8%減の269億円。うち第三分野については引受基準緩和型医療保険や介護・認知症保険の販売開始により同5.9%増の143億円。保有契約年換算保険料は同1.1%減の4356億円。保険料(グロス収入保険料)は同2.7%減の4737億円を計上。当期純利益は新型コロナによる入院給付金の減少等もあり、同121.5%増の281億円となった。基礎利益は同63.1%増の404億円。
三井住友海上プライマリー生命の保険料等収入は、好調なマーケット環境等を背景に、前期比2169億円増の1兆5668億円。グロス収入保険料は同10.9%増収し、過去最高の1兆3535億円。当期純利益は、利ざやが増加した一方、増収に伴う代理店手数料の増加や責任準備金の積立負担の増加などにより、同0.3%減の196億円となった。
海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は、新規引受の増加や保険料率の引き上げにより大きく増収した欧州をはじめ、アジアや米州でも増収、円安の影響もあり、前期比3007億円増収の1兆2336億円(32.2%増)。当期純利益は、保険料増収やポートフォリオの収益性向上に加え、自然災害ロスが減少したことなどにより、同131.0%増の1538億円となった。地域別には、アジアが同140億円増の452億円、欧州が同587億円増の901億円、米州が同11億円増の47億円。欧州のうちMSアムリンの当期純利益は同584億円増の896億円。
24年度の通期業績予想については、損保子会社の正味収入保険料は3382億円増収の4兆6000億円、生保子会社のグロス収入保険料は1563億円減収の1兆6710億円を見込む。海外保険子会社はAUL(MS Amlin Underwriting Limited)、MS Re(MS Reinsurance)の引受拡大や料率引上げを主因に2523億円増収の1兆4860億円を見込む。当期純利益は、国内損保子会社2社の政策株式売却による資産運用損益の増加により増益の6100億円。グループ修正利益は国内損保事業の政策株式売却加速による売却益増加等により6300億円を見込む。