2024.05.27 東京海上HD 23年度末決算 修正純利益60%増7116億円に 海外事業が4369億円と大幅増益

 東京海上ホールディングスは5月20日、2023年度末決算を発表した。それによると、連結経常収益は前年比12.3%増の7兆4246億円、正味収入保険料は同7.9%増の4兆8249億円、生命保険料は同2.0%減の1兆498億円。連結経常利益は同70.5%増の8425億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同85.7%増の6958億円となった。修正純利益は雪災予算の未消化と政策株式売却益の増加を主因に同60.2%増の7116億円で、通期予想(2月速報)対比で216億円上振れて着地。一過性の影響を除いたNormalizedベースでは対前年11%増の6855億円と、通期予想(2月速報)通りとしている。24年度通期業績予想については、経常利益が42.4%増の1兆2000億円、親会社株主に帰属する当期純利益が25.0%増の8700億円、1株当たり当期純利益が440円99銭、修正純利益が1兆円(Normalizedベースで+46%成長、政策株式売却益を除くと+2%成長)と見込む。
 連結の正味収入保険料は為替影響を除くと前年比4%増となる。国内の正味収入保険料は自動車の料率・商品改定や新種の販売拡大等により同1%増(除く為替)の2兆5933億円で、海外は好調なレートアップや引受拡大等により同8%増(除く為替)の2兆2319億円となった。
 連結の生命保険料は、為替影響を除くと前年比5%減。国内は事業保険の解約増加を主因に同16%(除く為替)減の4288億円で、海外は好調なレートアップや引受拡大等により同4%(除く為替)増の6214億円だった。
 23年度の連結修正純利益7116億円(前年比2675億円増、2月速報通期予想対比+216億円)の内訳は、東京海上日動が1014億円、東京海上日動あんしん生命が411億円、海外事業が4369億円、その他が1319億円。
 23年度末の国内損保事業のうち、東京海上日動の保険引受利益は1092億円で前年度から71億円減。自然災害・各種準備金等の影響を控除したベースでは1779億円で、国内外での大口事故の影響等により、11月予想を87億円下回った。
 資産運用等損益は前年比754億円増の3192億円、経常利益は同684億円増の4306億円で、当期純利益は同2311億円増の4207億円。事業別利益は、保険引受利益の減少を国内自然災害が予想を下回ったこと(+47億円)や好調なインカム収益等(+約40億円)で打ち返したものの、円安進行に伴う為替の影響(▲約50億円)で、11月予想を35億円下回って着地し、同79億円減の1014億円だった。
 東京海上日動の正味収入保険料(民保)は、いずれの種目も前年度実績を上回り、合計で前年比2.2%増の2兆2194億円。ほぼ11月公表の予想(2兆2214億円)通りとなった。
 発生保険金は、国内自然災害(▲約120億円)およびコロナ保険金の減少(▲約310億円)の一方、円安進行に伴う外貨建支払備金積増(+約170億円)、自動車保険の損害率上昇(+約550億円)、海外源泉契約における大口の発生保険金の影響等により、前年比1067億円増の1兆4705億円。11月予想対比では、 国内自然災害の減少の一方で外貨建支払備金積増や大口事故の影響等により、+276億円で着地した。
 E/I損害率(民保)は、トップラインはほぼ見込み通りとなった一方、発生保険金の増加により、11月予想(64.9%)を上回って着地し、前年比2.1ポイント上昇の65.9%。事業費率は、社費率はシステム開発の期ズレに伴う物件費減の影響等により11月予想を下回り11.3%、手数料率はほぼ11月予想通りの20.5%となった結果、同0.3ポイント低下の31.8%。その結果、コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は、通期予想対比で+0.4ポイント、前年比1.9ポイント増の97.7%となった。
 24年度の業績予想では、保険引受利益は、事業費は増加の一方で、火災の料率改定・収益改善取組の効果や新種の販売拡大、海外源泉契約における前年度影響の反動により、自然災害・各種準備金等の影響控除ベースで前年比611億円増の2390億円を見込む。事業別利益は、自然災害予算の増加の一方で、前年度の為替影響の反動や保険引受利益の増益により、同115億円増の1130億円を見込む。当期純利益は、同1672億円増益の5880億円を見込むとした。
 日新火災は、正味収入保険料が前年比28億円増の1478億円、保険引受利益が同0億円減の67億円、資産運用等損益が同1億円減の17億円となった結果、当期純利益は同15億円減の55億円となった。24年度の業績予想は、正味収入保険料は41億円増の1520億円、当期純利益は42億円減の13億円を見込む。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、競争激化による販売下振れ等により11月予想(550億円)を下回って着地し、前年比7.8%減の492億円。基礎利益は同5.3%増の424億円。当期純利益は同11.7%増の397億円を計上した。事業別利益は、トップラインの下振れに伴う初年度負担の減少等により11月予想(350億円)対比で+61億円、前年対比では12.9%増の411億円だった。24年度の業績予想では、新契約年換算保険料は顧客に対するアプローチの拡大(顧客接点の変革)等により前年比9.7%増収の540億円、当期純利益400億円(同0.6%増)、基礎利益390億円(同8.2%減)を見込む。
 海外事業は、正味収入保険料は、各拠点における成長施策の実行(レートアップや引受拡大等)により、主要拠点がいずれも想定通り好調に増収し前年比4.8%増(除く為替)の2兆9100億円。11月予想の3兆440億円に対する進捗率は99.7%で、予想通りの着地となった。事業別利益は2月速報の通りの着地で、対前年ではCECL引当を中心とした北米キャピタル損の増加(▲約300億円)や自然災害の増加(▲約80億円)を、各拠点の好調な保険引受やインカム収益、台湾コロナの反動(+約1090億円)、円安進行(+179億円)等で打ち返し、2183億円(除く為替で85.3%増)の大幅増益となった。24年度の業績予想では、正味収入保険料は、引受規律を堅持しつつ、着実なレートアップや引受拡大を通じ、前年比4.5%(除く為替)増収の3兆2190億円、事業別利益は、対前年では過年度リザーブ取崩しの反動(▲約290億円。毎年年初計画には同効果を織り込んでいない)や大きく躍進したブラジルで一定の減益を見込む一方で、円安の影響(+約290億円)や海外事業全体でコンバインド・レシオを低位(92%台)に維持しながら着実な成長を実現することで、前年比4.1%(180億円)増の4550億円を見込む。なお、自然災害等の一過性要因の反動(+約120億円)に加え、円安の影響(+297億円)や過年度リザーブ取崩しの反動(▲約290億円)を除いたベースでは、約60億円の増益を見込むとした。