2024.05.21 かんぽ生命が大和証券と資本業務提携 第三者割当増資でアセマネ20%株式を取得 日本郵政は米アフラック本社に持分法適用
かんぽ生命、㈱大和証券グループ本社(東京都千代田区、荻野明彦代表執行役社長)、および同社の連結子会社の大和アセットマネジメント㈱(東京都千代田区、小松幹太代表取締役社長)は5月15日、かんぽ生命が大和アセットマネジメントによる第三者割当増資を引き受けることによる資本業務提携を行うことに合意したと発表した。また、同日、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の日本郵政グループ3社と、アフラック・インコーポレーテッド(米国ジョージア州、ダニエル・P・エイモス会長、社長兼最高経営責任者)およびアフラック生命(以下、2社を合わせて「アフラック」)は、2018年12月19日に合意した「資本関係に基づく戦略提携」(以下、戦略提携)に基づき、日本郵政がアフラック・インコーポレーテッドに対して持分法を適用したと発表した。
今回のかんぽ生命と大和証券グループの提携は、異なる強みや経営資源を有する両社が協業することで、大和アセットマネジメントの運用力や商品・サービス提供力を向上させるとともに、かんぽ生命の収益源の多様化および資産運用力の強化を図ることが目的とされている。
大和アセットマネジメントの増資前の発行済株式総数は260万8525株で、かんぽ生命を割当予定先に65万2132株の新株式を発行することになっており、増資後の持株比率は、大和証券グループ本社80%/かんぽ生命20%となる。払込期日は7月1日の予定。
業務提携は、①資産運用分野における協業②人材交流―の2点で、資産運用分野における協業では、かんぽ生命が運用する資産の一部について大和アセットマネジメントに運用を委託する。両社は、大和アセットマネジメントのオルタナティブ分野を含む投資顧問ビジネス領域への本格参入について協業する。また、人材交流では、双方の収益基盤の拡充、運用の高度化、人材育成を目的とし、資産運用人材の相互交流を行うとしている。
かんぽ生命の谷垣邦夫取締役兼代表執行役社長は「日本で有数のアセットマネジメント会社である大和アセットマネジメントとの協働により、収益源の多様化と資産運用力の強化を図る。これにより当社の収益力を向上させ、企業価値を高めることで、ステークホルダーの期待に応えるとともに、資産運用立国の実現にも貢献する」とコメントしている。
また、大和証券グループ本社の荻野社長は「当社アセットマネジメントビジネスの中核子会社である大和アセットマネジメントは、1959年の設立以来、日本の投資信託業界をけん引してきた。足元の事業環境の変化により、さらに競争力のある資産運用会社へ成長することが求められている。日本有数のアセットオーナーであるかんぽ生命と協業することで、運用力の高度化を促進し、商品・サービス提供力の向上を通じて、資産運用立国実現に貢献していく」、大和アセットマネジメントの小松社長は「かんぽ生命との協業を通じて、人材をはじめとするシナジー効果を追求することで、日本におけるインベストメントチェーンの機能向上をけん引し、資産運用立国の実現や、あらゆる投資家の資産形成に微力ながら貢献する」と述べている。
【アフラック本社に対する持分法適用】
日本郵政によるアフラック・インコーポレーテッドに対する持分法適用は、日本郵政の25年3月期第1四半期決算から、アフラック・インコーポレーテッドの損益が日本郵政の信託を通じた株式保有割合に応じて日本郵政の連結業績に反映されるというもの。
日本郵政グループ3社とアフラックが18年12月に合意した戦略提携では、日本郵政グループ3社およびアフラック(以下、提携5社)によるがん保険に関する取り組みの一層の推進やその他の協業の取り組みを確認するとともに、日本郵政によるアフラック生命の親会社であるアフラック・インコーポレーテッドへの投資を通じて、アフラックのビジネスの成長が日本郵政への利益貢献につながるという双方の持続的な成長サイクルの実現を目指していた。日本郵政とアフラックはこの投資を行うにあたり、適用される法規制に適合するように、信託を活用したストラクチャー(日本郵政によるアフラック・インコーポレーテッドへの支配を仕組み上遮断し、同時に持分法の適用を可能とするストラクチャー)を構築し、日本郵政はこれにより、20年2月までに、アフラック・インコーポレーテッドの普通株式7%程度を取得、その後、信託を通じて保有する議決権が20%に達した。そこで、24年3月、アフラック・インコーポレーテッドに対して持分法を適用することにしたもの。
アフラック・インコーポレーテッドの株式は41年連続で増配を続ける米国上場企業における「配当貴族」銘柄であり、日本郵政は18年に投資を開始して以来、累計約430億円の配当金を得ている。
持分法適用により、日本郵政の25年3月期第1四半期決算から、アフラック・インコーポレーテッドの損益が日本郵政の信託を通じた株式保有割合に応じて日本郵政の連結業績に反映される。
日本郵政グループ3社では、アフラックとの戦略提携は、顧客と地域を支える「共創プラットフォーム」構築に向けた重要な取り組みの一つであり、この持分法適用を契機として、がん保険販売をはじめ、戦略提携に基づくさまざまな取り組みを通じ、提携関係をさらに発展させ、日本郵政グループが成長戦略として掲げる「お客さまと地域を支える『共創プラットフォーム』」の実現を目指すとともに、アフラックが日本においてブランドプロミスとして掲げる「『生きる』を創る。」に基づく、新たな価値を創造し続けていくことを目指すとしている。
なお、提携5社では、この間の戦略提携として、がん保険に関する取り組みの一層の推進のほか、▽新商品検討(「重大疾病一時金特約」の発売)▽スタートアップの成長と顧客への提供価値の向上を目指すアクセラレーション・プログラムの実施▽在宅介護関連サービスにおける協業―など社会課題の解決に向けたさまざまな取り組みを通じて、提携関係を発展させてきている。