2024.03.19 日本キャプティブ協議会 「オープニングセミナー」開催 キャプティブの“正しい知識”提供 情報交換の場としての役割も
一般社団法人日本キャプティブ協議会は2月20日、オンラインで「オープニングセミナー」を開催した。キャプティブについての正しい知識を学ぶ機会、会員同士の情報交換の場の提供を主な目的に、昨年秋に発足した同協議会の対外的な活動として初めて行われたイベントで、理事長の得平幸政氏(日本リスクアンドアセットマネジメント㈱代表取締役)を含む4人の理事が同協議会設立への想いや今後の取り組み方針などを説明した。また後半には、キャプティブ関連事業者が自らの業務内容などについて紹介した。当日は約200人が参加し、キャプティブと同協議会に対する関心の高さをうかがわせた。
キャプティブとは、自社および自社グループの保有するリスクを保険として専門的に引受けることを目的に設立した会社で、キャプティブを利用することで海外保険市場からより広範囲な補償を受けることが可能になる。
セミナーの冒頭にあいさつした得平理事長は、昨今、日本の保険市場ではソフト・ハード両面でのインターネット環境の普及や企業のグローバル化に伴い、キャプティブの認知度が高まる一方で、正しく理解されていない側面もあることから、同協議会ではキャプティブについての正しい知識をベースに健全なキャプティブ運営の普及を通じて企業顧客の価値の向上を図っていくとした上で、「皆さんと一緒に学び、発展を遂げていきたい」と述べた。
次に、理事3人があいさつした。武井一徳理事(RAMインターナショナル㈱代表取締役)は、同協議会に参画した経緯として、以前、海外のリスクマネジメント協会のカンファレンスや、バミューダやハワイといったキャプティブドミサイル(キャプティブの設立地)で業界関係者が数百人集まって情報交換しているのを見て、日本でも同じことを実現したいと考えたことがきっかけだったと明かした。また近年、海外のカンファレンスに日本人や日本企業の参加が減っていることに危機感を持っているとし、「海外では次々と新しいリスクマネジメントソリューションが開発されて、日々情報交換されているが、日本ではそうした状況になっていない。当協議会が少しでも日本企業のリスクマネジメントの底上げにつながればと思う」と述べた。
再保険ブローカーのジャパン・リスク・スペシャリスト㈱で代表取締役を務める荒木直義理事は、近年、再保険市場はハードマーケットで再保険を購入する側にとって厳しい状況になっており、その要因として世界的に巨大自然災害が頻発して保険金の支払いが増加していると指摘。一方で、そうした自然災害などに対して保険が十分に活用されていないプロテクションギャップが国内外で議論されていると述べた。そうした状況を踏まえ、荒木氏は「今後は保険会社がキャパシティを含めてすべて供給するのではなく、契約者である事業会社にもリスクを分担してもらう、また、リスクを把握してもらうことが必要になってくる」と述べ、その際の手当ての一つとしてキャプティブの重要性が増していくとの考えを示した。
内山範昭理事(JWGホールディングス㈱/ワランティビジネスジャパン㈱代表取締役)は、企業のリスクマネジメントの概要を、取り組み体制や分析によるリスクの分類、リスクマップなどの図を示しながら紹介した上で、キャプティブの活用方法について説明。地震保険を例に挙げながら、キャプティブ保険プログラムの仕組みやキャプティブ運営に関わる各事業者の関係を解説した。とりわけ、既存の保険では対応が難しいような新たなリスクに対してキャプティブの活用が有効だとした上で、「当協議会ではキャプティブドミサイルでキャプティブ運営をサポートするキャプティブマネジメント会社や弁護士事務所、監査法人、アクチュアリー、銀行といった各事業者とも情報連携しながら皆さまに有益なフィードバックができればと考えている」と述べた。
この後、実際にキャプティブ運営のサポート実績がある法律事務所や税理士事務所、ハワイやラブアンといったキャプティブドミサイルのキャプティブ関連事業者があいさつし、自らの役割や業務内容などを紹介した。