2024.02.09 富士通、東京海上レジリエンス、東京海上日動 サプライチェーンリスク可視化サービスを開発 リスク回避の追加物流費用の補償も提供
富士通と東京海上レジリエンス、東京海上日動は、1月25日からレジリエントなサプライチェーンの構築を目指して協業し、サプライチェーンにおけるリスクを可視化するサービス「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization Service」(以下、SCRV)の提供を開始した。顧客のサプライチェーンの正確な把握とリスク評価を可能とし、自然災害などの有事に備えたサプライチェーンの構築とリスク対策の立案、有事の迅速な影響把握と意思決定を支援する。物流の途絶を回避するための追加費用を補償する東京海上日動の保険も組み込む。
SCRVは、①サプライチェーンのリスク可視化・評価による有事に備えた対策立案の支援②有事のアラート発報・タイムリーな状況把握③関係者とのコミュニケーション効率化④追加物流費用の補償⑤システム基盤への先進的なテクノロジーの活用―の5点を特長とする。
①では、登録されたサプライチェーン情報に基づいて、顧客の拠点および取引先の生産拠点、生産品、調達品のサプライチェーンツリーを可視化。また、拠点情報とハザードマップを地図上で重ね合わせる機能やリスク評価レポートの出力機能により、自然災害リスク情報も可視化する。これにより、有事に備えた持続可能なサプライチェーンの構築、リスク対策の立案を支援する。
②では、気象災害や地震災害の発生時に、登録された取引先に被災の可能性がある場合に自動でアラートメールを発報する。また、顧客および取引先が実際の被災状況の情報を入力することで、関係者全体でタイムリーな情報収集と影響把握が可能。これによって代替仕入れ先の確保や、早期出荷・迂回輸送などの対策を早期に実行できる。
③では、システム上で日常的に取引先とのコミュニケーションを取ることが可能となっており、顧客および取引先関係者全体で、平時からリスクへの対策状況などの情報収集や、有事の際の被災状況や復旧状況の一元管理を行うことができ、コミュニケーションを効率化する。
④では、一定規模以上の被災可能性アラートがSCRV上で発報された際に、顧客がサプライチェーン途絶を回避するために要した追加費用を補償する保険を付帯する。例えば、台風や豪雨などによる浸水/洪水・外水氾濫を見越した製品の早期出荷や迂回輸送に伴う追加費用を補償し、迅速な回避行動による損害の未然防止を後押しする。
⑤では、SCRVの基盤として、富士通の戦略的グローバルパートナーであるマイクロソフトの Microsoft Azureを活用し、堅牢性と拡張性を実現している。今後もマイクロソフトと連携し、SCRVをはじめとするサービスのキーテクノロジーとして、サプライチェーン関係者のコミュニケーションの高度化などに向けて、先進的な生成AIサービス(Azure OpenAI Service、Copilotなど)やテクノロジーを活用する。
SCRVは、顧客のレジリエントなサプライチェーンの構築を支援する富士通のサービスとして提供する。東京海上レジリエンスでは、各種自然災害リスク情報を一元化して富士通へ提供するとともに、富士通の販売パートナーとして、SCRVを販売する。
東京海上日動は、SCRV専用の物流途絶に対応する保険を開発し、有事における経済的な補償を提供するとともに、全国の営業基盤を活用して顧客にSCRVを紹介し、東京海上レジリエンスと連携していくことで、サプライチェーン全体のリスクマネジメント体制の構築を支援する。
3社では、「近年、企業はサプライチェーン危機に直面し、あらゆる状況に備えた事業継続性の確保が喫緊の課題となっている。なかでも、自然災害発生時の業務停止による企業の損失額は増大傾向にあり、平時の多面的な準備と、有事の柔軟かつ迅速な判断・対応に向けた取り組みの重要性が高まっている。これらの社会情勢を受けて、富士通のサステナブルな世界の実現を目指す『Fujitsu Uvance(注)』のもと、人と地球が共存し持続可能な成長を支える『Sustainable Manufacturing』の取り組みと、東京海上日動の『事前事後領域への事業拡大』、東京海上レジリエンスが掲げる『防災・減災総合ソリューション事業』の実現に向けた取り組みを融合することで、顧客のレジリエントなサプライチェーン構築の支援を目指した協業を開始した」としている。3社では今後も可視化するリスクの対象拡大や顧客の基盤システムとの連動など、機能拡充を実施していくとともに、グローバルでの顧客への展開も検討する。
(注)富士通が長年培ってきたテクノロジーとさまざまな業種の知見を融合させ、社会課題を起点として、クロスインダストリーで顧客の成長に貢献するソリューション。