2023.12.01 SOMPOHD 23年度第2四半期(中間期)決算、修正利益は823億円増益 通期正味収保・純利益は過去最高見込む

SOMPOホールディングスが11月17日に発表した2023年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比5.3%増の2兆6596億円となった。このうち正味収入保険料は、海外保険事業が200億円の増収となったものの、損保ジャパンが373億円の減収となったことにより、同143億円(0.7%)減収の2兆889億円を計上した。連結経常利益は1810億円(前年同期実績は▲880億円)、親会社株主に帰属する中間純利益は1315億円(同▲771億円)だった。修正連結利益は海外保険の資産運用利益の増加、コロナ影響の剥落を主因に、前年同期比823億円(161.8%)増益の1332億円。

11月17日の中間決算発表では、始めにビッグモーター社による不正事案への対応として、社外調査委員会の最終報告書(年内めどに受領予定)の内容も踏まえて抜本的に対応すること、 その上で、損保ジャパンの持続的成長に資する変革をSOMPOグループ一体となって検討・実行することが報告された。また、次期中計のコンセプトとして「レジリエンス」、「コネクション」をキーワードとし、3つの柱を軸に顧客ニーズに応え続けられるユニークな事業展開を追求することなどが発表された。
SOMPOグループの連結修正利益は1332億円を計上したが、22年度中間期の508億円からの増減要因は、国内損保事業が自然災害の減少とコロナ関連保険金の剥落で351億円増、海外保険事業が債券利息収入の増加による資産運用損益の増加を主因に順調に進捗し307億円増、国内生保事業が同じくコロナ保険金の剥落で146億円増、介護・シニア事業が5億円増、デジタル事業等が11億円増。そこから損保ジャパンが政策株式売却益を主因に381億円増、海外保険事業が11億円増、国内生保事業が112億円減、その他が297億円減となった結果、連結純利益は1315億円となった。
ESR水準は、利益の積み上げ、株式リスク・金利リスクの削減等により、23年3月末対比で9ポイント上昇の232%となった。
通期業績予想については、正味収入保険料は、国内損保事業は減収の一方、海外保険事業の増収により、全体では1092億円増収の3兆7800億円(年初予想3兆7310億円)とし、当期純利益とともに過去最高となる見通しとしている。当期純利益は2640億円と予想、対年初で340億円予想額を引き上げた。損保ジャパンは配当金収入や有価証券売却益の増加などにより対年初予想から310億円増の2110億円、海外保険事業は保険引受利益は減額したものの資産運用益の増額と円安効果により対年初予想から229億円増の1743億円、国内生保事業はコロナ関連の発生保険金の剥落があるものの運用面におけるヘッジコスト負担増加などを見込み、年初予想の153億円に据え置いた。1株当たり当期純利益は801円98銭(年初予想690円51銭)に上方修正した。グループ通期の修正連結利益予想については、前回予想の2800億円で据え置いた。
国内損保事業のうち損保ジャパン単体の業績では、保険引受利益は一過性要因(コロナ関連保険金・大口事故)の剥落を主因に前年同期比1202億円増の117億円。増減要因は、国内自然災害を除く影響が408億円増(うちコロナ・大口事故の一過性要因の剥落が278億円増)、国内自然災害影響が207億円増、異常危険準備金等が586億円増だった。23年度通期(今回予想)の保険引受利益は770億円を見込む。通期のコア保険引受利益は、計画を上回って推移している自動車の事故率増加影響を火災保険の既経過保険料増などがオフセットする見込みとしている。
正味収入保険料は前年同期比3.2%減の1兆1247億円で、前年度の火災保険駆け込みの影響を除くとほぼ横ばいとしている。種目別内訳は、火災保険が同18.8%減の1776億円、海上が同6.1%減の279億円、傷害が同0.7%減の843億円、自動車が同0.1%増の5392億円、自賠責が同2.1%減の1027億円、その他が同4.3%増の1927億円を計上した。中間期の実績を踏まえ、23年度通期の正味収入保険料は2兆1890億円(自賠責・家計地震を除くベースで2兆81億円)を見込む。
自賠責と家計地震を除いたE/I損害率は、前年同期比3.4ポイント低下して67.4%。除く自賠責・家計地震のW/P損害率は同5.4ポイント上昇して61.8%。通期のE/I損害率は、自動車保険の事故率悪化を火災保険の収支改善でオフセットし、65.3%を見込む。
正味事業費率(自賠責・家計地震を除く)は、火災保険の商品改定に伴う代理店手数料率の低下を主因に前年同期比0.5ポイント改善し33.3%、社費率は同0.1ポイント低下し12.5%。前年度の火災保険駆込み影響の剥落を主因に、23年度通期の事業費率は34.4%を見込む。
コンバインド・レシオ(E/I、除く自賠責・家計地震)は同3.9ポイント改善し100.7%で、W/P除く自賠責・家計地震では同4.9ポイント上昇の95.1%となった。23年度通期のコンバインド・レシオ(E/I、除く自賠責・家計地震)は、自然災害やコロナ影響などの一過性要因剥落により、1.2ポイント改善の99.7%を見込む。
資産運用利益は、政策株式売却益の増加を主因に同225億円(35.4%)増益の862億円。23年度通期では、ネット利配増を主因に期初予想比+338億円の2014億円を見込む。
経常利益は前年同期比1410億円増益の910億円で、中間純利益は同1005億円増益の661億円となった。修正利益は同371億円増益の280億円。
国内生保事業で、SOMPOひまわり生命は、新契約年換算保険料は前年同期比4.7%減の163億円。保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)は21年10月発売のがん保険を中心とする保有契約の持続的な積み上げにより、前年度末比0.7%増の3879億円だった。
保険料等収入(法令にのっとった生命保険会社の様式に基づく数値)は同0.2%増の2128億円、責任準備金繰入等が同1.8%減の1290億円、保険金等支払が同32.8%減の430億円、事業費は同3.6%減の456億円、資産運用損益は同15.5%減の255億円、基礎利益は同236億円増益の174億円となった。
経常利益(連結様式とは異なる)が同171億円増益の147億円で、当期純利益は同126億円増の88億円。修正利益は同265.7%増益の201億円。
海外保険事業では、保険引受利益は、自然災害やインフレ影響をトップラインの成長でオフセットし2億9300万ドル、23年度第3四半期の保険引受利益速報は4億4000万ドルで、通期は5億1300万ドルを見込む。
SIコマーシャルの正味収入保険料は、注力地域の北米およびグローバルマーケットで好調に伸展し、8800万ドル増収の90億500万ドル。農業保険は、穀物生育状況の悪い地域や地理的集中を避けるため、戦略的に出再を増加しているとした。
介護・シニア事業は、NDソフトウェア社の買収による統合効果に加え、入居率上昇により、中間期売上高は122億円増収の863億円だった。