2023.11.30 MS&ADHD 23年度第2四半期(中間期)決算、純利益は886億円増の875億円に 正味収保予想を4兆1620億円に引き上げ

MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が11月17日に発表した2023年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比28.5%増の3兆6285億円を計上した。連結正味収入保険料は、国内損保子会社は減収の一方、海外子会社が大幅増収した結果、同8.3%(1737億円)増の2兆2700億円。連結生命保険料は同4880億円増の4760億円(前期実績は▲120億円)だった。経常利益は同450.8%増の1314億円で、中間純利益は国内生保子会社が減益となったものの、国内損保子会社と海外子会社が増益となった結果、同886億円増益の875億円(前期実績は▲11億円)となった。グループ修正利益は同721億円増の1120億円で、今回予想2800億円に対する進捗率は40.0%。なお、MS&ADHDでは、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外連結子会社及び在外持分法適用会社でIFRS第17号「保険契約」を2023年度中間期の期首から適用しており、22年度中間期に係る数値については当該会計基準を遡及適用した後の数値となっている。

MS&ADHDはグループ連結の業績予想を修正し、損保子会社の正味収入保険料は、足元の業績および為替の状況を勘案し、年初予想から780億円引き上げ、4兆1620億円を見込むとしている。国内生保のグロス収入保険料についても足元の業績を勘案し、年初予想比1000億円引き上げの1兆5810億円を見込むと上方修正した。
経常利益は4000億円(前回発表時予想4200億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2800億円(同3000億円)、1株当たり当期純利益は526円83銭(同562円67銭)とそれぞれ下方修正した。当期純利益については、国内外の自然災害や自動車の発生保険金の見通しを引き上げたことにより年初予想から200億円引き下げた。グループ修正利益についても国内損保事業、海外事業の引き下げなどにより、年初予想の3500億円から700億円引き下げ2800億円に下方修正した。
ESR(エコノミック・ソルベンシー・レシオ(=時価純資産÷統合リスク量))については、▽政策株式の削減によるリスク量の減少▽収益期待資産への投資拡大によるリスク量の増加▽国内株価の上昇や円安による時価純資産とリスク量の増加―といった増減要因があったものの228%と23年3月末と同水準となっている。
当期の国内損保主要2社(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)の業績では、正味収入保険料は、火災保険における前年大幅増収の反動減により、2社合算で前年同期比1.3%減の1兆5318億円となった。
三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、火災が前年同期比15.7%減の1318億円、海上が同0.8%減の393億円、傷害が同4.2%増の841億円、自動車が同0.7%増の3466億円、自賠責が同2.0%減の692億円、その他が同0.7%増の1665億円で、合計は同2.3%減の8377億円となった。正味支払保険金は同2.9%増の4540億円、正味損害率は同3.3ポイント上昇し60.8%、正味事業費率は同0.1ポイント低下し31.3%となった。コンバインド・レシオは同3.2ポイント上昇し92.1%。なお、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同3.6ポイント低下し68.5%。
あいおいニッセイ同和損保の種目別正味収入保険料は、火災が同22.2%減の1065億円、海上が同25.8%減の25億円、傷害が同0.8%増の323億円、自動車が同5.3%増の4034億円、自賠責が同0.8%減の658億円、その他が同12.9%増の834億円で、合計は同0.2%減の6940億円となった。正味支払保険金は同1.6%増の3947億円、正味損害率は同1.2ポイント上昇し62.7%、正味事業費率は同0.3ポイント低下し33.5%、コンバインド・レシオは同0.9ポイント上昇し96.2%となった。なお、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同1.6ポイント上昇して76.6%。
国内損保主要2社の保険引受利益は、自動車の保険金支払(事故件数の増加、保険金単価の上昇)や国内自然災害ロス(台風2号、7月豪雨、7月群馬ひょう災等)が増加した一方、既経過保険料の増加や新型コロナ関連ロスの剥落があったことから、前年同期比671億円増益の▲455億円となった。このうち三井住友海上は同591億円増益の▲49億円、あいおいニッセイ同和損保は同80億円増益の▲406億円。なお、2社合計の保険引受利益(異常危険準備金反映前)は、前年同期比412億円増益の▲448億円で、このうち三井住友海上は同464億円増益の70億円、あいおいニッセイ同和損保は同52億円減益の▲518億円だった。
2社の資産運用・その他収支は、利配収入の増加や政策株式売却による有価証券売却益の増加等により、合算で同143億円増の1355億円だった。このうち三井住友海上は同19億円増の911億円、あいおいニッセイ同和損保は同124億円増の444億円。
2社合計の経常利益は、同815億円増益の899億円を計上。このうち三井住友海上は同610億円増益の861億円、あいおいニッセイ同和損保は同204億円増益の38億円。2社合計の中間純利益は、同574億円増益の668億円。このうち三井住友海上は同403億円増益の651億円で、あいおいニッセイ同和損保は同171億円増益の16億円。
国内生保子会社のうち、三井住友海上あいおい生命の保険料等収入は、積立利率変動型終身保険の払込満了増加や逓増定期保険の保有減少等により前年同期比77億円減の2367億円となった。グロス収入保険料も同額。新契約高(個人合計)は同10.8%減の6664億円。新契約年換算保険料はガン保険の販売好調や引受基準緩和型医療保険の投入により同2.2%増の136億円だった。保有契約高(個人合計)は期首比1.5%減の22兆8896億円。保有契約年換算保険料は同0.6%減の4380億円だった。経常利益は前年同期比140.9%増の253億円、中間純利益は新型コロナウイルス感染症による入院給付金支払いの減少等により、同106億円、177.0%増益の166億円だった。基礎利益は同126.0%増の195億円を計上した。
三井住友海上プライマリー生命の保険料等収入は、外国金利の上昇による外貨建て商品ニーズの高まりなどにより、前年同期比849億円増収の7047億円。グロス収入保険料としては、好調なマーケット環境等を背景に23.8%増収し、第2四半期としては過去最高の6545億円を計上した。
新契約高(個人合計)は同27.8%増の6993億円、保有契約高(個人合計)は期首比11.0%増の7兆6917億円。経常利益は前年同期比165.4%減の▲97億円、中間純利益は、保有契約の増加等により利息及び配当金等収入は増加したものの、外貨建保険の責任準備金繰入負担の増加などにより196.1%減益の▲86億円。
海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は、新規引受の増加や保険料率の引き上げにより大きく増収した欧州をはじめ、アジアや米州でも増収、円安影響もあり、前年同期比1942億円(36.9%)増収の7206億円となった。中間純利益は、保険料増収効果に加え、前期のロシア・ウクライナ関連ロスの見積もり計上や台湾現法における新型コロナ関連ロスの剥落等に加え、自然災害ロスの減少により、同405億円増益の409億円(前年同期実績は▲320億円)となった。
自然災害の状況では、国内自然災害に係る正味発生保険金は、前年同期と比較して損保2社計で119億円増加し1019億円。海外自然災害に係る正味発生保険金は、ハリケーン・イアンのロスを追加計上した前期と比較して262億円減少の277億円だった。