2023.10.24 東京海上日動、三菱UFJ銀行、兼松 米シエラ・スペースへ出資、地球低軌道の事業化に参画

東京海上日動、㈱三菱UFJ銀行、兼松㈱の3社は9月27日、米国のSierra Space Corporation(CEO:Tom Vice、以下、シエラ・スペース)と4社間でアジア太平洋地域における戦略的パートナーシップ契約を締結し、3社がシエラ・スペースへ出資したと発表した。

シエラ・スペースは、宇宙機器・サブシステム、宇宙往還機および商用宇宙ステーションの開発を手掛ける企業で、2021年6月1日設立、所在地は米国コロラド州デンバー。同社は、再利用型宇宙往還機 Dream Chaser(R)を開発、まもなく国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションを開始する他、26年には商用宇宙ステーション“Pathfinder”の打ち上げを予定している(ISSは、30年までの運用が予定されており、米国を中心に、ISS退役後については、民間企業が保有・運営する商用宇宙ステーションにおける事業のあり方が議論されている)。
シエラ・スペースは大分空港を Dream Chaser のアジア拠点・宇宙港として活用する検討を進めているが、実現に際しては、日本全体で約3500億円、大分県内で約350億円の経済波及効果が見込まれるという(三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱の試算による)。また、商用宇宙ステーション“Pathfinder”においては、宇宙空間の微小重力環境を利用した生命科学や物質・物理化学などの分野における学術的科学実験、創薬開発などの応用利用研究の他、エンターテインメント分野での利用も期待されている。
4社は昨年10月に、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構による「持続可能な地球低軌道(注)における宇宙環境利用の実現に向けたシナリオ検討調査」に参画し、ISS退役後の地球低軌道活動や、ISSの延長を含む25年以降の地球低軌道活動の在り方について協議し、課題や事業モデルを提言した。このパートナーシップのもと、シエラ・スペースが推進する地球低軌道の事業化に、東京海上日動、三菱UFJ銀行、兼松が参画することで、日本の宇宙産業サプライチェーンのさらなる拡大や、新たな産業創出に向けて取り組むほか、大分県を中心とした地域経済へも貢献する。
また、この取り組みへ参画する事業者を集いながら、宇宙産業の発展に向けた取り組みの輪を広げるとしている。
(注)地球低軌道:ISS(高度400キロメートル)が活動する高度200~1000キロメートルの領域を指す