2023.10.11 アフラック 日立製作所、GlobalLogicと共創、職域版キャンサーエコシステム構築へ 従業員目線で20の施策アイデアを検討

アフラック、㈱日立製作所、GlobalLogic Japan㈱(Nitesh Banga社長兼CEO)は9月12日、がんを取り巻く社会的課題に対して企業が従業員とその家族を包括的にサポートするため、職域の従業員を当事者としたキャンサーエコシステム(以下、職域版キャンサーエコシステム)の構築に向けた協創を本格的に実施すると発表した。

アフラックは、創業50周年を迎える2024年に向けて「中期経営戦略(2022~2024年)」を策定したが、その戦略の一つ『「生きる」を創るエコシステム戦略』を実行するために、職場や学校、患者団体やNPO、企業、さらには行政団体などのさまざまなステークホルダーが連携・協業し、がんに関する社会的課題を包括的に解決する大きな仕組みである「キャンサーエコシステム」の構築に向けて取り組んでいる。
日立は、デジタルの力で社会課題の解決を推進するための仕組み・仕掛けとしてLumada(注1)をグローバルに展開している。また、Lumadaを基盤に多様なパートナーとの連携を可能にするエコシステムも構築しており、さまざまな社会課題に対し、複数の企業・団体による協創でイノベーション創出に取り組んでいる。GlobalLogic Japanは、日立が21年7月に買収した米国シリコンバレーに本社を置くデジタルエンジニアリングのリーディングカンパニーGlobalLogicの日本法人。
人生の多くの時間を過ごす職場におけるがん罹患(りかん)者のサポートは、がんと闘いながら自分らしい生き方を実現することに寄与するだけでなく、罹患による離職・休職を低減し労働力の確保にも寄与するため、企業にとっても重要な取り組みだが、内閣府の調査では、職場におけるヘルスケア施策・制度の提供が不十分であることや、施策そのものが従業員に十分認知・活用されていないことなどから、約57.4%が「がん治療と仕事の両立が困難」と回答(内閣府「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」より)するなど、職場におけるがんに関するサポートが大きな課題となっているという。
そこで、アフラックが掲げる「キャンサーエコシステム」と、日立のLumadaのエコシステムを融合した協創プロジェクトとして、日立の職域をフィールドにし、企業が主体となり、従業員にがんに関して包括的かつ中長期的なサポートを提供する「職域版キャンサーエコシステム」の構築を目指すことにしたもの。
GlobalLogicを加えた3社は、22年12月から職域における現状の課題を把握するために、日立の職域をフィールドにした先行検討のプロジェクトを推進してきた。
アフラックが持つ保険会社としてのがん保険の知見と、日立とGlobalLogicによるデザイン思考を生かした先進事例の知見や新規サービスの創出手法を組み合わせ、「職域版キャンサーエコシステム」に求められる機能や、実現のために連携すべきステークホルダーを検討。具体的には、がん経験者を含む日立の従業員に対してインタビューを実施し、がんの経験や健康意識、社内制度の活用状況など、ありたい姿と現状とのギャップを明らかにした。その結果をもとに、日立の協創拠点「Lumada Innovation Hub Tokyo」(注2)で、アフラック、日立、GlobalLogicの3社がアイデア検討ワークショップを実施した。また、GlobalLogicのデザイン思考を駆使し、社内制度のサポートの現状を整理しながら、従業員に対する各種調査から導いたペルソナのサバイバージャーニーを作成した。そして、これまでケアが行き届いていなかった課題をエンドユーザーである従業員視点で徹底的に洗い出し、ありたい姿の方向性と、20の施策アイデアを検討したという。
3社は今後、先行プロジェクトで導き出した20の施策アイデアをもとに、日立の職域における実装・展開を目指すとともに、他の企業や領域、社会全体への展開も見据えたアイデアの具体化・検証を進める。
24年中を目標に、「職域版キャンサーエコシステム」を実現するプラットフォームの設計・実装を目指し、企業としての従業員のウェルビーイング向上の取り組みに貢献するとしている。
(注1)Lumada:顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称
(注2)業界の枠を越えたステークホルダーをつなぎ、知恵やアイデアを掛け合わせることで価値創出を活性化する日立の協創拠点