2023.08.01 三井住友海上 市区町村の個別避難計画をサポート、避難支援活動中の「支援者」の賠償責任を補償
三井住友海上は7月から、市区町村が作成する災害時の個別避難計画に基づく住民の避難支援活動をサポートする保険の販売を開始した。「支援者」(個別避難計画に掲載された避難支援等関係者個人等)が損害賠償責任を負担する場合の損害を補償し、災害時における自助・共助・公助を促進して被害軽減につなげるとともに、誰一人取り残さない社会の実現に貢献していくとしている。
東日本大震災では、高齢者や障がい者など、自ら避難行動を取ることが難しい人の逃げ遅れによる被害が多数発生したため、迅速かつ的確な住民避難が大きな社会課題として顕在化した。2021年5月に「災害対策基本法」が改正され、「要支援者」(災害時に一人では避難することが困難な高齢者や障がい者等、市区町村ごとに作成している避難行動要支援者名簿に記載された人のこと)の情報や避難方法等をまとめる「個別避難計画の作成」が市区町村の努力義務となった。
広域で緊急的な避難活動を要する災害時における「要支援者」の避難には、近隣住民の人々による支援が欠かせないが、「支援者」(「要支援者」に対する避難支援、安否確認等の要支援者の生命または身体を災害から保護するために必要な措置を行う人で、個別避難計画に定められた人を指す〈個別避難計画に掲載された避難支援等関係者個人等〉)にとっては、災害時の不慣れな支援活動により「要支援者」にケガを負わせることへの不安が大きく、「支援者」の確保が進まない等の課題により、個別避難計画を策定済の市区町村数は137(7.9%、22年1月1日現在、総務省避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果より)にとどまっているという。
こうした状況から、三井住友海上では災害時における支援者・要支援者の不安軽減や支援者の確保、地域における互助のコミュニティ形成への貢献を目的として、「個別避難計画に基づく住民の避難支援活動をサポートする保険」を開発した。
同保険は、市区町村を保険契約者とし、個別避難計画において事前に登録された支援者を対象に、避難誘導中に支援者が誘導を誤った結果として要支援者がケガを負った場合など、災害時における避難支援活動中または避難訓練中の事故による他人の身体の障害または他人の財物の損壊について、支援者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する(注)。保険金額は1億円。また、このほか、避難支援活動中の支援者・要支援者のケガに対する補償規定を盛り込んだ個別避難計画の作成も支援する。
(注)事故が発生した際には、三井住友海上の専門の担当者が示談交渉に対応する。