2023.06.23 損保ジャパン 自治体新電力の安定経営を支援、廃棄物発電の代替調達費用を補償 猛暑・厳冬期の追加調達費用も一部補償

損保ジャパンは5月31日、自治体が出資する小売電気事業者(以下、自治体新電力)の安定的な電力調達をサポートするため、「相対電源供給停止費用保険」と「厳冬・猛暑期電力調達費用安定化保険」の提供を開始すると発表した。自治体新電力の事業安定化の支援を通じてエネルギーの地産地消を促進し、2050年のカーボンニュートラル実現・脱炭素社会への移行を支援すると同時に、地方創生にも貢献していくとしている。

地域の資源と資本を活用しながらエネルギー活用(エネルギーの地産地消)を目指す自治体新電力は、事業を通じた地域活性化や地域課題の解決など「地域の脱炭素化」や「地方創生」に向けた担い手になることが期待されている。一方で昨今の天候不順や地政学的緊張などの複合的要因によりエネルギー価格が高騰する中、市場価格に依存した電力調達に対する不確実性が高まっており、市場価格に依存しない自社再生可能エネルギー電源開発や相対契約による電力調達などが喫緊の課題となっている。
そのような中、政府は、地域循環共生圏の構築に向けた地域の循環資源を活用する取り組みとして、廃棄物処理施設を地域のエネルギーセンターとして活用し、廃棄物エネルギーを地域社会で積極的に利用することを自治体に求めている。廃棄物発電は天候に左右されない安定したエネルギーであるため、相対契約による固定価格で電力を調達する自治体新電力が増えているという。
一方、廃棄物発電施設が火災等の事故によって操業を停止した場合には、自治体新電力は代替電力を市場価格で調達する必要があり、従来想定していた調達コスト以上の費用が発生するリスクがある。また、多くの自治体新電力は市場価格での電力調達も行っており、猛暑や厳冬期には電力需要が高まり、市場価格が高騰すると計画より調達コストが増加するため、自治体新電力にとって大きな経営課題となっている。
これらの課題の解決策として、損保ジャパンでは廃棄物発電等の相対電源からの電力調達が偶然な事故によって停止された場合に発生する追加調達費用の一部を補償する「相対電源供給停止費用保険」と、猛暑や厳冬期に電力需要が高まることで市場価格が高騰した場合の追加調達費用の一部を補償する「猛暑・厳冬期電力調達費用安定化保険」を提供することにした。
「相対電源供給停止費用保険」は、自治体新電力事業者(新電力事業者)を被保険者とし、調達元となる発電所が罹災(りさい)したなどの事情により計画値に対して必要な電力量を確保できない場合、代替電力の調達にかかる追加発生費用を補償する。保険期間は1年間で、期中支払限度額は1000万円、2000万円、3000万円の3パターンから選択する。
「猛暑・厳冬期電力調達費用安定化保険」は、自治体新電力事業者(新電力事業者)を被保険者とし、厳冬または猛暑によって電力需要が高まることで、期間中の市場価格が計画値以上に高騰した場合に発生する追加調達費用の一部を補償する。厳冬・猛暑は電力需要量と相関が高いHDD(Heating Degree Days:冬季における日平均気温を活用した暖房の使用度を示す指標)とCDD(Cooling Degree Days:夏季における日平均気温を活用した冷房の使用度を示す指標)のインデックスを活用して定義する。保険期間は1年間で、期中支払限度額は個別に設定する。
同社では今後、自治体新電力への支援を通じて「地域の脱炭素化」や「地方創生」の取組みを一層強化していくとしている。