2023.03.23 損保協会 定例会見 学校教員対象に防災・減災講習会実施、災害に便乗する悪質業者対策も報告

損保協会は3月17日、業界紙向けの定例記者会見を開催し、前日に日銀記者クラブで行われた白川儀一協会長(損保ジャパン社長)の会見内容を報告した。白川協会長は、防災・減災に向けた取り組みとして、防災・減災に関する講習会を高校・小中学校の教員を対象に実施したことを報告した他、災害に便乗する悪質な業者への対策として、引き続き関係団体と連携して注意喚起・啓発活動に努める意向を示した。この他、損保業界の主要課題に関する取り組みについても説明した。(本日付2~3面に白川協会長ステートメント全文掲載)

白川協会長は会見の冒頭、1月の寒波・大雪の被害に関して哀悼の意とお見舞いの言葉を伝えるとともに、今後の雪解けの時期の雪崩、河川増水の恐れについて触れ、災害への備えをお願いしたいと呼び掛けた。
さらに、昨年の福島県沖地震、2月に発生したトルコ・シリアでの大地震についても触れ、「地震や自然災害の脅威が顕在化しており、またロシアによるウクライナ侵攻、 安全保障上の懸念や物価上昇、金融市場の動揺など、私たちを取り巻く環境は依然不透明な状況が続いている」と述べ、こうした環境の中で社会課題解決への新たなチャレンジを続け、損保業界の発展と社会への貢献を目指す考えを示した。
本年度の主要課題に関する取り組みの報告として、防災・減災に向けた取り組みでは、ハザードマップ等防災・減災に関する講習会を高校・小中学校の教員を対象に実施したこと、 東北支部で対談方式の防災啓発セミナーを実施したことを報告した他、北陸支部において、石川県および石川県代協との3者間で「防災分野における連携に関する協定」を締結したことを発表した。
また、災害に便乗する悪質な業者への対策では、引き続き関係団体と連携して注意喚起・啓発活動などの対策を進めるとした他、気候変動・サステビリティ関連課題への対応では、2月に第5回気候変動勉強会を実施し、経団連自然保護協議会の長谷川雅巳氏が生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)の結果や、生物多様性分野において損保会社が活躍し得る領域をテーマに講義を行ったことを報告した。
一方、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みでは、標準化・共通化の加速として「保険料控除証明書発行サービス」による電子データの取得件数が2月末時点で25万件に達したことを報告した。また、エマージングリスクに関する対応として、2月に関東、中国、四国、九州、東北の各支部が各地方経済産業局などと連携し、中小企業への保険普及や事業継続力強化計画認定取得の推進に関連したセミナーを開催したことなどを紹介し、引き続き、各地域の実情に即した施策を企画していくと述べた。
この他、継続的な取り組みとして若年層の損害保険リテラシーの向上、保険事業の環境整備に向けた適切な対応、新興国市場への各種支援強化、募集品質向上に関する取り組み、自賠責保険広報活動について報告した。
最後に、「今後もお客さまの安心・安全を支え続ける社会インフラとしての役割・機能を持続的に果たせるよう、会員会社と一体となって、主要課題解決に向け着実に取り組みを進めていく」と述べて会見を締めくくった。
この後の質疑応答では、災害に便乗する悪質な業者への対策、4月1日の契約更改に向けた再保険市場の需給ギャップ、自動車の事故件数ならびに自動車保険の支払い保険金・単価の増加などに関する質問を受けた。
白川協会長は悪質業者への対策について、地域ごとの災害被害状況等を踏まえながら、適時・適切に当地の消費者に広く伝えることが極めて重要と認識し、本部の取り組みと合わせ、各地区での警察や自治体との連携を一層強化していると報告した。続けて、警察との連携事例として、同協会の関東支部で警視庁後援の注意喚起チラシを作成し、啓発活動を行っていることを紹介した。
また、これまで損保業界としては、どちらかというと保険金の不正請求を防止する取り組みに力を注いできたが、あらゆる局面で不正を行う業者が増えていることから、現在は関係団体と連携し、募集の時点で注意喚起を行うようにしていることも併せて報告した。