2022.12.26 東京海上日動 賠責初期対応費用特約の担保範囲拡大、風災被害の見舞金補償へ

東京海上日動は企業向けに、台風などの「風災」によって発生した対物事故の被害者に対して企業が支出する「見舞金等」を補償する商品の販売を開始する。2023年1月始期契約から、企業の賠償責任を補償する施設賠償責任保険と請負業者賠償責任保険の初期対応費用担保特約の補償範囲を拡大し、「風災見舞費用」(台風等の風災による対物事故の被害者に対する見舞金・見舞品購入費用)を追加するもの。

新たに提供を開始する補償は、企業が所有する工場・事務所等の建物や建設現場の足場が風災により壊れて飛ばされ、周辺の住宅などの建物に損壊を与えた場合などが対象となる。
同社では、「台風等の自然災害は不可抗力であるため、一般的には賠償責任保険では補償の対象外となるケースが多いが、『賠償責任がなかったとしても被害者に何らかの補償をしたい』とのお客さまの声を多くいただいていた」と話す。
同社が20年に実施した企業の事故対応担当者などを対象としたアンケート調査「風災補償に関するアンケート」によると、「台風に起因して他人の財物を損壊した場合、被害者に金銭やお見舞品を渡している」と回答した割合は、74.8%と高い水準になっている。19年に発生した台風15号では、千葉県市原市のゴルフ練習場の鉄柱が倒れ、周辺の住宅20棟以上が損壊した。このほかにも、工場の屋根がはがれたり、住宅工事現場の足場が倒れたりするなど、近隣の住宅に損害を与える事例も多く発生している。同社では、大規模な自然災害が増加する中、こうしたニーズに応えるため、企業向けの賠償責任保険で提供する特約の補償範囲を拡大することで新たな補償の開発につなげた。支払限度額は被害を受けた1世帯につき10万円までで、初期対応費用担保特約では、このほかにも事故原因を調査する費用や事故現場の片付け費用なども補償する。「これからの3年間で、約2万件の新規付帯を目指す」としている。
なお、前記の調査は、20年3月6日~9日にインターネットで実施。調査地域は全国で、①経営者・役員、会社員、自営業で、固定資産・備品、消耗品などの管理、保安・防災・施設管理業務、契約・取引業務、機関法務、法務相談、紛争訴訟対応、コンプライアンス・社内規定などの業務を担当している人②賠償事故対応の担当者や責任者③(過去10年以内に)台風・竜巻で、経営・勤務している会社が、所有または借りている建物の一部や敷地内の設備、所有物が飛んで行ったり倒壊したりしたことにより、他人の物を壊してしまった経験がある人―以上三つの条件をすべて満たす人を対象に行われた。見舞金などに対する意向は、「加害者になった時」に見舞金を支払う意向は66%と高く、「被害者になった時」は(見舞金などを)請求する傾向が強い(51.5%)。また「見舞金、見舞品購入費用を補償する保険に加入したい・やや加入したい」という割合は91.2%と非常に高い―という結果だったという。