第一生命ホールディングスと第一生命は１２月１６日、東京都千代田区の第一生命日比谷本社で社長交代に関する記者会見を開催した。第一生命ホールディングス指名諮問委員会を経て、同日行われた取締役会で両社の代表取締役社長である稲垣精二氏が２０２３年４月１日付で退任し、第一生命ホールディングスの社長には同社代表取締役専務執行役員兼ＣＦＯの菊田徹也氏が、第一生命の社長には第一生命ホールディングス取締役常務執行役員で第一生命常務執行役員の隅野俊亮氏が、それぞれ後任となることが決まった。稲垣社長は両社の代表取締役会長に就任し、第一生命については、現在就任している生命保険協会会長の任期満了となる２３年７月末で代表取締役を退任する。また、両社の取締役会長である渡邉光一郎氏は３月３１日付で第一生命を退任し、４月１日付で第一生命ホールディングスの取締役となる。

記者会見には、稲垣社長、菊田専務、隅野常務が出席した。はじめに稲垣社長があいさつし、社長交代の経緯を説明。昨年から指名諮問委員会で後継の経営トップの資質などを検討し、社内外のさまざまな環境変化に適応して第一生命グループのさらなる成長を実現するために、既存の延長線上にない変革を実現できること、それを進める力強い推進力が不可欠といった議論があり、複数の候補者との面談などを踏まえて１１月３０日の指名諮問委員会において両者を後任とする委員会案が決定され、１２月１６日の取締役会で正式に決定したと説明した。稲垣氏は「私の社長時代には第一生命グループの事業ウイングは大きく拡大し、第一生命ではリテール部門を中心に大きな改革に取り組んできた。このタイミングで第一生命グループの事業ウイングの拡大をさらに推進できる菊田（氏）、第一生命の改革をさらに推進できる隅野（氏）にバトンをタッチし、私は両社の会長としてこれからの二人の挑戦を支えていきたい」と述べた。
続けてあいさつした菊田氏は「グローバルな保険グループとして、成長市場や成長領域に経営資源を重点的に配分することで、お客さま、株主、従業員などすべてのステークホルダーの皆さまと社会から高い評価とご支持を頂戴し、企業価値をサステナブルに高めていくことができる保険グループを目指していきたい」と述べた。
一方、隅野氏は「第一生命の経営理念である『お客さま第一主義』や『一生涯のパートナー』は、いつの時代も変わらないわれわれの大切な価値観であり、その変わらない価値観をしかと胸に刻み、お客さまに長期にわたって安心と幸せをお届けできる会社であり続けるために、全社一丸となってチームワークを発揮し、絶え間ない変革に挑戦していきたい。また、お客さまが求める商品やサービスも大きく変化、多様化しており、そのお客さまからの期待に適切かつタイムリーにお応えできるよう、新たな顧客体験価値を創造していける会社を目指していきたい」とあいさつした。
この後、記者との間で質疑応答が行われた。今回、第一生命ホールディングスと第一生命で経営トップを分けた理由を問われた稲垣氏は、「私が兼務で担当してきた５年半の間に、第一生命グループの事業ウイングがかなり拡大してきた一方、第一生命もさまざまな経営改革に現在取り組んでおり、このタイミングでそれぞれの推進力をさらに強化できるに人物に分けてバトンタッチしていくことが最善の策と考えた」と回答した。
【菊田徹也（きくた・てつや）氏の略歴】１９６４年１０月１４日生まれ。８７年３月一橋大学商学部卒業、同年４月第一生命入社。２００８年４月第一ライフ・インターナショナル（香港）部長待遇、同年１０月第一ライフ・インターナショナル（アジアパシフィック）部長待遇、１１年７月第一生命株式部長、１３年４月同運用企画部長、１４年４月同アセットマネジメント事業ユニット長兼運用企画部長、同年６月同執行役員投資本部長兼株式部長、１６年４月同執行役員投資本部長、同年１０月第一生命執行役員投資本部長、１７年４月同常務執行役員投資本部長、１８年４月第一生命ホールディングス常務執行役員／第一生命取締役常務執行役員、２０年６月第一生命ホールディングス取締役常務執行役員、２１年４月同代表取締役専務執行役員、同年１０月同代表取締役専務執行役員北米事業本部長、２２年４月同代表取締役専務執行役員（Ｃｈｉｅｆ　Ｆｉｎａｎｃｉａｌ　Ｏｆｆｉｃｅｒ）。
【隅野俊亮（すみの・としあき）氏の略歴】１９６９年１０月２６日生まれ。９２年３月東京大学法学部卒業、同年４月第一生命入社。２０１３年４月第一生命グループ経営本部部長兼経営企画部部長、１６年１０月第一生命ホールディングス執行役員経営企画ユニット長、１８年４月同執行役員北米事業本部長、２０年４月同常務執行役員、２１年６月同取締役常務執行役員、２２年４月第一生命常務執行役員。