2022.10.18 東京海上HDと損保ジャパンがそれぞれ資本業務提携 空飛ぶクルマ、SkyDriveが資金調達 Cラウンドで13社が96億円を出資
「空飛ぶクルマ」や「物流ドローン」を開発する㈱SkyDrive(愛知県豊田市、福澤知浩代表取締役CEO)は9月26日、東京海上ホールディングス、損保ジャパンをはじめとする13社を引受先とした第三者割当増資および銀行融資によりシリーズCラウンドで総額96億円の資金調達をしたことを発表。東京海上ホールディングス、損保ジャパンは同日、それぞれSkyDriveと資本業務提携を締結したことを発表した。
東京海上HD、損保ジャパン以外のSkyDriveのシリーズCにおける資金調達の引受先は、▽SCSK㈱▽関西電力㈱▽近鉄グループホールディングス㈱▽スズキ㈱▽豊田鉄工㈱▽日本化薬㈱▽日本発条㈱▽ペガサス・テック・ベンチャーズ▽三井住友信託銀行㈱▽㈱三菱UFJ銀行▽りそなグループ―となっている。今回の資金調達によってSkyDriveの累計調達額は約147億円となった。
SkyDriveは、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、「空飛ぶクルマ」および30キログラムの重量物を運搬できる「物流ドローン」を開発している。
2019年に日本で初めて「空飛ぶクルマ」の有人飛行に成功し、シリーズBラウンドが終了した2020年9月以降、20年11月には「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」に設立当初から参画し、21年9月には大阪府、大阪市と「空飛ぶクルマ」の実現に向けた連携協定を締結、21年10月には日本で初めて「空飛ぶクルマ」の型式証明申請が国土交通省に受理され、22年1月には海外での事業展開を見据えて世界最大規模のテクノロジー見本市「CES2022」に出展し、「ロイターが選ぶ Best of CES30」と日本のスタートアップとして初めて「KEY TRENDS AT CES 2022」に選出されている。現在は、カーゴドローン事業を本格開始し、25年の大阪・関西万博開催時に、大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現を目指し、2人乗り機体「SkyDrive式SD―05型」(SD―05)を開発している。
同社では今回の調達により事業基盤、経営基盤を強化することで、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」のメーカーとして、機体開発、事業推進と中長期的な成長を加速していくとしている。
【東京海上HD】
東京海上HDでは今回の資本業務提携について、「SkyDriveとは、同社の前身組織の有志団体CARTIVATOR(空飛ぶクルマの技術開発と事業開発に取り組む有志団体〈現:Dream on〉で、開発・事業化を目指す一団がSkyDriveとして独立・事業会社化した)以来、空飛ぶクルマの実用化に向けた協議や実証実験を続けてきた。今般、空飛ぶクルマという新しいモビリティのリスクに対応する保険商品や関連サービスの開発をさらに加速させるために、SkyDriveとの間で資本業務提携契約を締結するに至った」としている。
業務提携では、安心・安全な空飛ぶクルマの社会実装を目的として、さまざまな取り組みを共同で推進することで「100年に一度のモビリティ革命」に挑戦していくとともに、安心・安全な「空飛ぶクルマ」の社会実装という社会課題の解決に向けて取り組むとしている。
具体的には、①安全運航確立に向けた取り組み(22年度に開始している航路のリスク評価を含む、安心・安全な運航の実現に向けたリスクアセスメントを共同で実施するほか、今後運航事業者向けに、離着陸場のリスクアセスメントや航路設定などの空飛ぶクルマ運航事業のリスクコンサルティングサービスも共同で開発する)②空飛ぶクルマ保険の開発(25年の空飛ぶクルマの運航事業開始に向けて、SkyDriveの知見も活用して空飛ぶクルマ向けの保険を開発する)③社会受容性向上・安全啓発活動に向けた共同取り組み(21年度から開始している事業化候補地域における「空飛ぶクルマ」の社会受容性や事業性の調査をさらに進め、23年度から24年度には地域住民や社会全体に対する安全啓発活動を共同で実施する)―としている。
【損保ジャパン】
損保ジャパンでは今回の資本業務提携について、「国内の有望スタートアップであるSkyDriveは、国内における空飛ぶクルマの創成期や導入期において国内マーケットの中心的プレーヤーとなることが予測される。同社は日本において空飛ぶクルマ関連事業のパートナーシップを構築していることから、当社の戦略と合致すると判断した。このマーケットで目指す方向や考え方が両社で一致しており、当社の協業等の提案と投資に対する考え方が、空飛ぶクルマのマーケットとSkyDriveが事業成長していくための未来を見据えたものであるという評価と共感を得て、同社からパートナーにふさわしいと判断された」としている。
損保ジャパンでは、SkyDriveとのパートナー関係構築によって、①国内におけるモビリティ革命の実現と、広大な「空」を活用した全く新しい社会づくり②海外に負けない、強いメイドインジャパンの機体・技術者づくり―を共に実現したいとしている。
具体的には、①共同での空飛ぶクルマの保険とそれに関連するサービスの研究開発(SkyDriveは機体開発・リスクデータの蓄積・市場ニーズ収集、損保ジャパンはそれをもとに保険やサービスの開発)②共同で空飛ぶクルマのコンソーシアムを形成していき、ビジネスモデルやサプライチェーンを構築③空飛ぶクルマの早期社会実装と普及に向けた社会受容性の醸成(SkyDriveは安全な機体づくり、損保ジャパンは事故を起こさないためのリスクアセスメントサービスの提供)―に取り組んでいくとしている。