2022.07.14 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保 「自然資本・生物多様性」取り組みで新特約、汚染損害拡張補償特約販売開始、三井住友海上は海洋汚染対応追加費用特約も

三井住友海上は6月17日、自然資本・生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスの第2弾リリースとして、船舶保険「海洋汚染対応追加費用補償特約」の販売を開始した。また、6月22日には、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、施設所有(管理)者賠償責任保険の新たな特約として「汚染損害拡張補償特約」の販売を開始すると発表した。

船舶事故による燃料油流出等によって海洋汚染が発生した場合、自然資本・生物多様性を毀損するリスクが高く、近年、事故後の保全・回復活動など企業の社会的責任に対する関心が高まっているという。海洋汚染損害による賠償責任は従来の保険でも補償されるが、船舶運航者が自主的に行う自然環境への損害に対する保全・回復活動の費用は補償対象外となっていた。そのため、三井住友海上では、船舶運航者による保全・回復活動を支援することを目的に、「海洋汚染対応追加費用補償特約」を開発した。
「海洋汚染対応追加費用補償特約」は、船舶事故により自然環境に損害が発生した際に、船舶運航者が賠償責任の範囲を超えて行う自然環境の損害に対する拡大防止や回復活動に支出した費用を補償する。船舶運航者の社会的責任を補完する商品のため、法律上の賠償責任に対する補償については別途賠償責任保険への加入が必要。
また、「汚染損害拡張補償特約」の販売開始は、「自然資本・生物多様性の保全・回復に資する商品・サービス」取り組みで三井住友海上としては第3弾、あいおいニッセイ同和損保としては第2弾となる。
汚染物質が工場などの施設から公共水域へ不測かつ突発的に流出したことに起因する損害賠償責任に加えて、汚染の浄化費用などを補償する特約で、施設所有(管理)者賠償責任保険に付帯することにより、企業は汚染物質が流出した場合のリスクをこれまでより幅広く補償することができる。あいおいニッセイ同和損保の資料によると、事故原因が石油物質の場合の対人事故、事故原因が石油物質以外の場合の対人事故・対物事故については従来の施設所有(管理)者賠償責任保険で損害賠償金等を補償するが、今回の特約は、事故原因が石油物質の場合の対物事故、石油物質・石油物質以外の両方の事故原因による漁業権侵害の損害賠償金等や浄化費用等を補償する。
三井住友海上では、「事業活動によって汚染物質の流出につながる事故が発生した場合、自然資本や生物多様性を毀損する恐れがあり、その後の浄化活動等、汚染を発生させた企業が果たすべき責任に対して社会的関心が高まっている。従来の賠償責任保険でも汚染に起因する一部の損害賠償責任は補償されるが、法律上の責任の有無に関わらず、自然資本や生物多様性を毀損する汚染の拡大防止や回復活動を行うための十分な補償がなかった。そのため今回、自然資本・生物多様性の保全・回復を図るために企業が負担する損害賠償責任や費用を幅広く補償する『汚染損害拡張補償特約』を開発した」と説明している。
三井住友海上は、今後も森林・水・土壌・生物の領域で、事故等により毀損した自然資本・生物多様性の保全・回復に必要となる費用等を補償する商品・サービスをリリースし、地球環境との共生に取り組んでいくとしており、あいおいニッセイ同和損保も、森林・水・土壌といった領域で、自然資本や生物多様性の保全・回復に必要となる費用を補償する商品・サービスを提供し、CSV×DXを通じて社会・地域課題の解決に貢献していくとしている。