2022.03.29 損保ジャパン 「舶用機関機械的事故防止費用保険」開発

損保ジャパンは3月4日、船舶の機関不具合を事前に把握して海難を未然に防止する「舶用機関機械的事故防止費用保険」を損保業界で初めて(同社による)開発したと発表した。㈱ClassNKコンサルティングサービス(東京都千代田区、以下、NKCS)による「ClassNK CMAXS」が発見する船舶機関(メーンエンジンおよび補機)の不具合の予兆をもって、機関の部品交換を行った場合に生じた費用を補償するもので、船舶機関メーカー向けに販売を開始する。

 大型化・高付加価値化する現代の船舶は、国際物流において従来にも増して重要な役割を担っている。技術の進展に伴い安全性が高まっている側面がある一方で、ひとたび海難が発生するとその規模や費用において大規模化・高額化する傾向にある。
 また、世界的な船員不足に加え、コロナ禍による各国の入出国規制に伴い船員交代が困難になるなど、船舶の運航に欠かすことのできない乗組員問題も追い風となり、各国では「自律運航船」や「自動運航船」の領域で数多くの技術開発や実証試験が実施されている。船舶の技術革新は過去に例を見ない速度で進展しつつあり、同時にその安全性に多くの期待が寄せられている。
 NKCSが販売窓口を務める「ClassNK CMAXS」は、船舶の機器のトラブルを初期段階で防止して安全運航を支援するために複数の機器メーカーとのアライアンスによる共同サポート体制を実現する。
 「ClassNK CMAXS」による船舶機関に対する診断からメンテナンスの流れは、▽計測:センサーによる「データ収集」▽異常検知:わずかな状態変化を捉える「異常/状態診断」▽トラブルシューティング:不具合の可能性の高い要因と対策手法を提案▽適切なメンテナンス:適切なメンテナンスワークを確認し、実施することで重大不具合を「予防保全」―というもの。
 ▽メーカーの異常検知に関するビッグデータとIoT、機械学習アルゴリズムを併用した診断手法の構築▽診断結果による機器の異常の早期発見、事故発生確率の減少を実現▽機器の動作原理に基づいた適切な自動トラブルシュートと適切な点検項目の自動抽出、点検手法の提示▽実際の危機状態に基づいた最適な予防保全が可能▽診断パラメータ、コンテンツ、機能を継続的に更新する運用体制を構築―などの特徴を有しているという。
 「舶用機関機械的事故防止費用保険」は、「ClassNK CMAXS」が異常を検知した場合の部品等の取り替えに要した費用等を補償するもので、それによって大規模な機関故障・事故を未然に防止する。船舶の自律航行の技術が開発されつつあり、機械による船舶の管理が進んでいくこととなり、機械的な不調をいかに早く発見していけるかが近未来の安全な海上輸送につながっていくと損保ジャパンでは考え、本保険の開発に至ったとしている。
 また、同社では、これまで事故が発生した結果の損害に対して保険金を支払うことで国際物流に貢献してきたが、今後は「ClassNK CMAXS」のようにIoTを活用した技術を活用することで、事故の未然防止につながる取り組みを通じて国際物流に新たな貢献をしていきたいとしており、本件をきっかけとしてノウハウを蓄積し、その他の機械の不具合についても対応できるような商品構成を目指すとしている。