2022.03.25 東京海上日動 「宇宙プロジェクト」始動、宇宙固有のリスクに挑戦、デブリ対策のALEと協業

東京海上日動は4月1日から、保険商品の開発・提供やリスクコンサルティングを通して、宇宙産業に携わる顧客の取り組みや社会課題の解決を支援し、より一層産業の成長・発展に貢献することを目指す「宇宙プロジェクト」の取り組みを開始する。

 近年、技術の進展や官民の積極的な連携によって宇宙を取り巻く環境は急速に変化しており、宇宙産業は多様な裾野の広がりを見せている。民間人だけの宇宙旅行も実現するなど、宇宙は政府や企業の活動だけでなく個人にとっても徐々に身近な存在になりつつあり、今後もさらなる利用拡大が見込まれている。
 宇宙利用の拡大に伴って宇宙デブリ問題という新たな社会課題も生まれており、宇宙産業の成長・発展に貢献する上で、多様化・複雑化するリスクに対応した新たな保険商品の提供やリスクコンサルティング、宇宙デブリ問題などの社会課題解決に向けた支援の重要性が高まっている。
 東京海上日動は1970年代から約50年にわたり、人工衛星の運用やロケットの打ち上げ等に関わる宇宙特有のリスクに対する保険商品の提供やリスクコンサルティングを通して、国内の宇宙産業の成長・発展に貢献してきたが、宇宙を取り巻く環境変化を踏まえ、これまで培ってきた専門性・ノウハウを結集し、宇宙産業に携わる顧客への支援や社会課題解決への貢献を推進するため、新たな取り組みを開始することとした。
 「宇宙プロジェクト」は、宇宙保険を扱う部署、DXを推進する部署、営業企画・開発部門、商品開発部門やグループ会社であるリスクコンサルティング会社等を中心に構成する社内横断のチームが中心となり取り組むプロジェクトで、①人工衛星の運用やロケットの打ち上げ等、宇宙特有のリスクを切り口とした新たな保険商品やソリューションの開発②宇宙産業に携わる企業との協業を通じた社会課題解決への貢献③人工衛星データやデジタルを活用した気候変動対策や防災・減災の災害予測精度の向上④宇宙産業の成長・発展に資する取り組み支援⑤宇宙関連の専門人材の採用・育成⑥宇宙飛行士や宇宙飛行士を目指す人々の応援―以上の取り組みを推進していく。
 今後の具体的な取り組みとして、まず、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が立ち上げた「Hello! EXPLORERS PROJECT」に応援サポーターとして参加し、宇宙を目指し挑戦する人や企業を応援する。同プロジェクトは、JAXAが13年ぶりに日本人宇宙飛行士を募集するに当たり、アルテミス世代の宇宙飛行士(注)やそこに向かって挑戦する人たちを応援する機運を多くの人々とともに醸成するために立ち上げられたもので、応援サポーターには同社を含む全28社(22年2月21日現在)が参画しており、今後はさまざまな業界横断でプロジェクトを支援していく。
 また、宇宙デブリ問題という社会課題の解決とサステナブルな宇宙環境の実現に向けて、2月から㈱ALE(東京都港区、岡島礼奈代表取締役CEO)と協業を開始している。いわゆる宇宙デブリ(運用を終了した人工衛星やロケット上段およびそれらの破片などの不要な人工物体)は、地球のあらゆる軌道上を漂っており、人工衛星との衝突や将来の打ち上げ活動に対する影響が懸念されている。昨今の活発な宇宙開発に伴い宇宙デブリが今後増加することが問題視される中、サステナブルな宇宙環境を実現するためには新たな宇宙デブリを生み出さない取り組みが必要となっており、ALEは宇宙デブリ対策の一つであるミッション終了後の人工衛星やロケット上段の速やかな軌道離脱を実現するEDT(導電性テザー)を用いたデブリ対策装置(以下、EDT装置)の開発、事業化に取り組んでいる。東京海上日動では、この協業を通じて▽EDT装置搭載によるデブリ化防止やデブリ衝突リスク低減の効果の検証▽EDT装置の普及促進に向けた保険商品の開発▽国際的な議論を含む持続可能な宇宙環境を見据えた宇宙デブリ問題への対策の検討―の取り組みを推進していく。
 (注)月探査プログラム等に参加する新時代の宇宙飛行士世代。