2016.12.19 チューリッヒ保険が代理店向けに新教育研修制度を提供
チューリッヒ保険は2017年1月から、海外で事業を展開する企業向けのインターナショナル・プログラムに関して、同社と委託契約のある保険代理店・保険ブローカーを対象にした教育研修制度「Z―Metis(ゼット・メティス)」の提供を開始する。昨今、日本企業のグローバル化の進展に伴い、海外子会社のリスク管理に悩む企業が増えている。そこで同社では、これまでに蓄積した知見を生かし、海外進出企業に最適な保険プログラムを提案するための研修制度の実施を決定した。
インターナショナル・プログラムは、国ごとに異なる諸規制を考慮した上で、全社の保険を一元管理する保険ソリューション。欧米では海外展開する企業のほとんどが導入しているもので、近年日本でも、企業のグローバル化とともにそのニーズは高まりを見せている。
「Z―Metis」は1日当たり3時間の研修を4日間にわたって実施する研修プログラム。テーマは1日ごとに変わり、インターナショナル・プログラムの役割や必要性から、各国の付保規制、提案方法、プログラム組成、事故対応、ロスプリベンションの提案までを系統立てて解説する。
会場は同社中野本社オフィスで、第1回は1月24日・2月7日・2月13日・2月21日、第2回は5月中旬~6月中旬、第3回は10月~11月の、年3回の開催を予定している。1開催当たり定員は10人で、参加できるのは1社から1人まで。研修終了後、筆記試験に合格するなど条件を満たした受講者には履修証明書が授与される。
同社企業保険事業本部副事業本部長の大谷和久氏は本研修制度をスタートする背景として、15年に行われた会社法の改正の影響を挙げる。
法改正によって、子会社のガバナンスやリスクマネジメントが取締役の責任として明文化されたため、多くの海外進出企業が、海外子会社のガバナンス強化を検討しているという。
その一方で、代理店からは「顧客企業から相談を受けてもどう対応すればよいか分からない」「インターナショナル・プログラムを導入することの必要性は分かるが難しそうで手が出せない」といった声が寄せられていた。
同社ではこれまでにも個別代理店向けにインターナショナル・プログラムの勉強会を開催していたが、1日の勉強会では制度を網羅的に説明することは難しいとの判断から、本研修制度の開催を決定し、半年前から準備を進めてきた。
1開催当たりの定員を10人としたのには、双方向型の研修を実施することで、インターナショナル・プログラムのエキスパートを育成したいとの思いがある。同社グループでは、同様の研修をオーストラリアやシンガポールで先行導入しており、その経験と知見に、日本ならではのアレンジを加えた研修を提供する方針だ。
大谷氏は「インターナショナル・プログラムに特化した代理店向けの教育研修制度は日本の保険業界においては初めての取り組みであり、代理店やブローカーは当社のノウハウを活用して新規のビジネス開拓や既存顧客のプロテクションに活用してほしい」と展望する。