2020.09.30 ■生保協会定例会見 各社のコロナ対策取組共有、感染防止と適切な業務運営の両立目指す[2020年9月18日]

 生保協会の根岸秋男協会長は9月18日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、同日付で開催された理事会で、業界横断の契約照会制度の創設、高校生向けの保険教育の推進、高齢社会における認知症に起因する課題に係る提言の作成などの取り組みが承認されたと報告した。また、同協会が7月28日から8月5日にかけて、会員各社に対して新型コロナウイルス感染症に係る取り組み状況に関するアンケートを行い、8月7日には各社の取り組み事項等について情報共有を行ったことも説明し、今後も継続的に新型コロナウイルス対策の高度化を推進していく考えを示した。
 根岸協会長はまず、理事会において、業界横断の契約照会制度の創設、高校生向け保険教育の推進や、高齢社会への対応に係る実施事項等、本年度の業界取り組みの具体的な実施事項が決議されたことに触れ、「これらは先日の協会長所信でも申し述べた諸取り組みに関するものだが、本日の決定事項に基づき、着実に前に進めていきたい」と意気込みを語った。
 続いて新型コロナウイルス感染症への対応状況を説明し、業界全体の8月末時点の合計として、保険料払込猶予期間の延長は24万8000件、新規の契約者貸付に対する利息減免は90万1000件、貸付金額は5487億円となったとした。特別取扱いに関するいずれの数字も、6月に比べて7月、8月は水準が低下している。
 保険金等の支払いについては、8月末時点の合計で、死亡保険金は897件で81億円、入院給付金は1万1100件で15億1000万円を業界全体で支払ったと報告。8月の入院給付金は前月に比べて増加しているものの、死亡保険金及び入院給付金の合計額で見ると、7月、8月と減少傾向となっていると説明した。
 また、生保協会では、新型コロナウイルスの感染拡大防止と適切な業務運営の両立に向け、好事例の共有等によって業界全体の取り組みの底上げを図っていくことが重要との考えから、7月28日から8月5日にかけて、会員各社に対して新型コロナウイルス感染症に係る取り組み状況に関するアンケートを行い、8月7日には各社の取り組み事項等について情報共有を行ったことを明らかにした。
 このアンケートでは①特に感染拡大が認められる地域で行っている追加的な対応について②感染症対策のための工夫・ルール等について③従業員の勤務体制について―の三つの視点で取り組み事例の収集が行われた。
 回答の一例として、イベント・セミナーや会食等の制限強化の他、非対面のコミュニケーションツールの活用や昼休み時間の分散等を挙げ、「今後も状況の変化を踏まえ、タイムリーにこうした取り組みを行い、業界全体で切磋琢磨(せっさたくま)しながら、新型コロナウイルス対策の高度化を進めていきたい」と述べた。
 記者からの質問として、9月16日に発足した新政権への期待について意見を求められた根岸協会長は、新型コロナウイルスへの積極的な対応に加えて、成長戦略の推進やさらなる規制の緩和といった点での取り組みにも期待を示し、特に規制緩和についてはマイナンバーの利活用を引き続き要望していくとした。
 この他、10月1日開始予定の外貨建保険の販売に係る資格試験については、感染防止策の徹底を前提に、予定通り試験を実施する方向で準備を進めていると述べ、内勤職員を含む想定受験者数延べ115万人全員に関して2022年3月までの受験完了を目指しているとあらためて強調した。