2020.07.29 ■日本生命 糖尿病予防プログラムを本格展開、保健師が遠隔で生活習慣の改善指導[2020年7月14日]

 日本生命は7月14日から、ヘルスケア事業の一環で糖尿病予備群を対象に糖尿病の発症を予防する糖尿病予防プログラムを有償のサービスとして本格展開を始めた。同社が2018年4月から企業・団体・健康保険組合・共済組合向けに提供している「ニッセイ健康増進コンサルティングサービスWellness―Star☆」のサービスラインアップに加わるもので、組織の課題分析から、個人単位でのサポートまで、トータルで活用できるサービスとなる。

 日本生命の糖尿病予防プログラムは、身体の状態を測定するさまざまな機器やツールを活用し、参加者が自身の体調をセルフモニタリングしつつ、(公財)日本生命済生会日本生命病院の保健師等が遠隔で生活習慣の改善指導を行うもの。自身の身体の変化を管理・把握することで生活習慣を変えようという意識が高まり、専門家である保健師等が指導することで正しい生活習慣を身に付けることができる。遠隔での指導や機器を活用したセルフモニタリングは、普段病院に行く時間がない人やこれまで生活習慣の改善に無関心だった層にも効果的なプログラムとなっている。
 プログラムの期間は約3カ月で、各種機器で測定したデータは専用ウェブサイトで一元管理され、参加者はいつでも確認できる。また、参加者と担当の保健師等が測定した同じデータを共有し、2週間に1度、保健師等が生活習慣の改善指導を遠隔で実施する。
 使用する主な機器・ツールは、▽FreeStyleリブレ(Abbott社が提供する血糖モニタリングツールで、2週間のグルコース値を24時間自動測定する)▽活動量計(オムロンヘルスケア社が提供し、プログラム期間中、毎日携行し日々の活動量〈歩数〉を計測する)▽curon(MICIN社が提供する保健師等と遠隔で面談をする際に使用するアプリ)▽CureSign(富士フイルムメディカル社が提供する簡易血液検査キットで、オプションとしてプログラム開始時の健康状態の把握やプログラム効果の確認に使用する)―となっている。
 プログラムの契約の締結と利用料の負担は、企業・団体・健康保険組合・共済組合となる。日本生命は専用ウェブサイトと実施結果レポートを提供し、日本生命病院が、保健指導の実施やパートナー企業から購入した機器の提供などを行う。
 同プログラムの開発に当たっては、18年度から各自治体の協力の下、計25団体・約1000人の自治体職員がトライアルに参加した。トライアルの結果、平均グルコース値(注)の改善が見られた人が69・5%、トライアルを最後まで完走した(最終評価まで完了した)人が99・1%となったとのこと。
 指導を行う日本生命病院では、同プログラムの展開に当たり専門の保健師等を増員しており、将来的には年間1万人の顧客に提供できる体制の構築を目指していく。また、将来の疾病発症リスクを評価するサービスや、リスクがより軽度な段階からでも生活習慣の維持・見直しを支援するサービス等、生活習慣の発症予防をトータルで支援する体制の構築に向け、引き続きサービスの拡充に努めていく。
 同プログラムはまず、企業に勤める従業員や自治体の職員等の被雇用者を対象に本格展開していくが、将来的には自営業者やシニアにも提供できるよう進めていくとしている。
 (注)継続的に計測した間質液中のグルコース値の平均。HbA1cと平均グルコース値は強く相関しており、平均グルコース値からHbA1cの推定が可能。