2020.03.24 ■日本郵政グループ 契約調査進展報告、法令・社内違反2月末で2170件[2020年3月13日]
日本郵政グループは3月13日、大手町プレイスカンファレンスセンター(東京都千代田区)で会見を開き、契約調査の進展と業務改善施策について報告した。日本郵便からは立林理常務、日本郵政からは木下範子執行役、かんぽ生命からは加藤進康常務と廣中恭明常務がそれぞれ出席し、法令違反や社内ルール違反が2月末時点で2170件(1月31日の報告から758件増)判明したことを明らかにした。また、3月末で総務省と金融庁からの業務停止命令の期間は終わるが、営業再開については未定とした。
木下氏は同日午前に総務省と金融庁に業務改善計画の第1回の進捗状況の報告を提出したと説明した。
2月末時点で、特定事案調査については対象人数15万4000人のうち、13万4000人(86%)の意向確認が完了。まだ意向確認ができていない顧客に対しては3月中に再度返信用封筒を同封したアンケート用紙を送ることとしている。
契約復元等の進展については、3万5564人の契約復元が完了し、1月31日公表時点からは1万4570人の増加となった。同氏は、契約復元については、顧客都合による場合を除き、3月末までに顧客対応を完了させる予定だとあらためて説明した。
募集人調査では、特定事案調査の対象事案18万3000件のうち、2月末時点で募集人調査の対象事案は1万3396件となっており、法令違反または社内ルール違反の有無の判定が完了した事案は8772件。このうち法令違反が認められた事案は174件(203人)、社内ルール違反が認められた事案は1996件(1522人)で、合計2170件に及ぶ。
特定事案調査における募集人の面談は、新たに判明した対象事案や退職者との調査日程調整中の事案を除き、おおむね完了しているという。なお、法令違反または社内ルール違反の有無の判定は、病休などの理由により調査不能になっている事案や、一部の再調査事案、募集人からの再判定要望事案を除き、3月末までに判定を完了する予定だ。
全契約調査の進捗に関しては、1900万人の顧客に対して実施、約100万通の回答があり、残り約18万人の顧客に対しては3月末をめどに連絡を継続的に実施する。
全契約調査の深堀調査では、多数契約調査で優先的に対応を行う顧客897人について、2月末時点で連絡が取れた顧客が807人(90%)、契約内容の確認が完了した顧客が727人(81%)となっている。優先対応以外の5532人については2月末時点で連絡が取れた顧客が1500人、契約内容の確認が完了した顧客が882人に上る。
今後、多数契約調査については、かんぽ生命の社員の訪問による契約内容の確認を4月末をめどに進める方針だ。募集状況の確認で、不利益が発生している顧客に関してはその解消を図るとともに、必要に応じて募集人調査を行うなど、適切な対応を実施する。
また、多数契約以外の調査として、保険料が高額であったり、被保険者や保険種類を変更するなどして新規契約に加入したことがあるなどの顧客に対しては、顧客の契約状況が分かる手紙の発送や電話、かんぽ生命や日本郵便の社員による訪問等により、グループを挙げた契約内容の確認を6月末をめどに進める。
これらの調査対象以外についても、信頼回復・契約内容確認のための訪問活動を通じ、顧客の意見や要望を丁寧に聞き取っていく考えを示した。
業務改善計画における主要施策の進展についても報告し、2月に日本郵便とかんぽ生命の両者でプリンシプルベースの行動規範を策定したと報告。また、かんぽ生命では営業の行動原則としての「かんぽ営業スタンダード」を策定し、関係する全社員に向けて研修を開始していると説明した。
また、募集管理態勢の強化については、第1線で重層的なチェックを実施するため、郵便局とかんぽ生命それぞれでチェック体制を構築。かんぽ契約の過去の消滅状況等、顧客情報を高度化して一元管理できる仕組みを4月から導入できるよう構築中だと説明した。
第2線の本社等では、日本郵便とかんぽ生命の本社の体制整備を行っているほか、募集状況の録音・保管の試行を3月から開始すると発表。第3線となる内部監査部門についても、監査体制の充実に向け、内部監査職などを配置する組織改正を2月に決定した。
情報共有・ガバナンスについては、グループ社員向けの業務相談窓口を開設。タスクフォースの活動も1月から開始している。
営業再開については、まだ1回目の業務改善計画の進捗状況を報告したばかりであり、現時点では判断できないとの見解を示した。