2020.01.14 ■あいおいニッセイ同和損保・トヨタ テレマティクス損害サービスシステムを開発[2020年]

 あいおいニッセイ同和損保とトヨタ自動車は、コネクティッドカーから取得する走行データを活用し、事故時の運転軌跡や運転挙動といった運転状況を可視化するとともに、AIを活用した事故検知を実現する新しい事故対応サービス「テレマティクス損害サービスシステム」を共同で開発した。トヨタとレクサスのコネクティッドカーを対象に2020年3月から本サービスの提供を開始し、対象車種を順次拡大していく。
[QQ]従来の事故対応は、電話や書類のやりとりなどによる顧客からの情報を基に、事故相手との過失割合の認定や示談交渉を進めていた。本サービスでは、トヨタのコネクティッドカーから得られる走行データを活用することで、保険会社が正確かつ客観的に事故状況を把握することが可能となり、事故に遭った顧客の保険金請求手続きの負担の大幅な軽減を図る。
 また、あいおいニッセイ同和損保の24時間365日事故対応サービス「I’m ZIDAN」に加え、トヨタのコネクティッドカーと同社が24時間365日つながることにより、迅速な事故対応の実現を図る。本サービスは「タフ・つながるクルマの保険」の加入者向け新サービスとして提供される。
 具体的なサービス内容は、①運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化②AIを活用した事故検知―の二つ。
 「運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化」では、コネクティッドカーから取得する情報を基に事故に至るまでの走行軌跡、アクセル・ブレーキ、シフトポジション、ステアリングの操作状況、指示器、安全装置といった各種装備の作動状況に関する車両データを可視化することにより、顧客が事故状況を説明する負担の軽減および迅速な事故解決を実現する。
 コネクティッドカーの情報を活用した事故対応事例として、「対向車との接触事故で、相手方は顧客が急ハンドルを切りセンターラインを越えて進入してきたと主張。しかし、コネクティッドカーから得られる車両情報により、顧客が急ハンドルを切っていないことを確認でき、早期解決となった」「駐車場における自動車同士の事故で、相手方はお互いが動いていたと主張。しかし、コネクティッドカーから得られる車両情報により、顧客はブレーキを踏んで停止していたことが確認でき、早期解決となった」といった例が紹介されている。
 また、「AIを活用した事故検知」では、事故による大きな衝撃を検知した際「自動通報受信デスク」から顧客に安否確認連絡を実施し、必要な諸手配を行う「緊急時リアルタイムサポート」にAIを活用。本機能は、あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス端末搭載車両の事故データと、衝突実験により取得した衝撃データを機械学習することにより構築したアルゴリズムを活用している。これにより事故の発生・事故地点を適切に認知することが可能となり、迅速な事故受付を実現する。
 本サービス開発の背景としては、自動車のコネクティッド技術等の進化により、コネクティッドカーを通じて車両データを収集・活用し、新たなモビリティサービスの提供が可能となっていることがある。両社は、コネクティッドカーから取得できる走行データを基に、「安全運転を支援する機能」や「安全運転による保険料割引」などのサービスを提供する運転挙動反映型テレマティクス自動車保険「タフ・つながるクルマの保険」を17年に共同で開発し、18年1月から販売を開始している。同保険は19年11月末時点で2万5000件を超える加入者となっており、同社の自動車保険「タフ・クルマの保険」加入者と比較すると、事故頻度が約3割抑えられており、事故低減効果が確認されているという。このような事故低減の取り組みに加え、万が一顧客が事故に遭った際にも迅速かつ適切に事故解決をサポートするため、本サービスシステムを共同で開発したもの。