2016.08.04 日本少額短期保険がスポーツバイク向け車両保険発売、アドバンスクリエイトと共同開発

 日本少額短期保険は7月にスポーツバイク向けの車両保険「BICYCLE保険」を発売した。スポーツバイクはエントリーモデルでも約20万円と高額で、高級メーカーの製品ともなれば100万円を超えるものも少なくない。そのため、盗難リスクの高さがユーザーの悩みの種となっていた。そこで同社は「車両全損特約」「車両半損特約」「盗難特約」を組み合わせた新しいタイプの自転車保険をアドバンスクリエイトと共同で開発。同社が運営する保険選びサイト「保険市場」限定で販売を開始した。
 【「BICYCLE保険」】
 スポーツバイクとは、ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイクの総称。「BICYCLE保険」は全スポーツバイクブランド、新車・中古車を問わず引き受ける。開発に当たっては、同社のバイク保険開発のノウハウに加えて、アドバンスクリエイトと、スポーツバイク専門誌「BiCYCLE CLUB」を発行する枻出版社から協力を得ることで、嗜好性の高いスポーツバイクの特性を踏まえた商品設計にこだわった。
 販売は保険市場に限定しているものの、広報活動については、大手スポーツバイク販売店や、枻出版社を通じて幅広く展開している。
 近年、スポーツバイクブームの高まりと同時に、高額車両の流通増加や盗難不安など、サイクリストには車両本体への補償ニーズが潜在的に存在していた。スポーツバイクに特化したメディアを使ってこうしたニーズを的確に捉えることで、2019年までに保険料ベースで1億5000万円を目指している。
 【「ネタは現場にある」】
 同社では2年ほど前から、主力代理店について、担当営業とアシスタントの2人体制を進めてきた。もともと家財保険が業績の大半を占める同社の場合、代理店のほとんどが兼業代理店であるため、改正保険業法対応などに不安を感じている代理店が多かった。
 そこで同社はフォロー体制を強化。日々のメンテナンスも、アシスタントが訪問して対応することとした。代理店からは「問い合わせの電話をするにしても、顔が分かっているので安心だ」との声が寄せられている。
 また、代理店に対して、担当営業である前に、一人の人間として向き合うことを徹底した結果、代理店との人的交流が深まり、商品についての要望などもキャッチしやすくなったという。
 現在では代理店の声を生かした商品開発も進めている。同社取締役営業本部長の井上久也氏は「ネタは現場にある。一見荒唐無稽な話であっても、きちんと調べてみると新商品のアイデアにつながることがある」と強調する。
 設立から10年。同社では、社外に対して緊密なコミュニケーションを図ると同時に、社内のコミュニケーションの活性化にも注力している。
 事業の拡大とともに従業員数は約70人にまで拡大し、年齢にも幅が生まれている。さまざまなキャリアを持った従業員が同じ目標に向かって進むために、オフィスでは直接的な対話を大切にしているという。
 企業として顧客に利益を還元することはもちろん、従業員が不安なく働ける会社が同社の目指すビジョンだ。
 同社は、2020年に収入保険料70億円を経営目標に掲げている。新商品の投入や、風通しの良い企業風土の醸成など、次の10年に向けて同社の新たな挑戦が始まっている。