2018.12.06 東京海上日動 来年1月 海外PL保険を改定 オンラインシステムに対応 下限保険料も最大約50%引き下げ
東京海上日動は来年1月に、海外PL保険の改定を行う。代理店に規定を開示し、申込書の作成や計上業務などをオンラインシステム対応にする他、下限保険料を最大約50%引き下げる。代理店が販売しやすい環境を整備することで、裾野を広げて中小企業マーケットの開拓を進めていく考えだ。
従来、海外PL保険は代理店に規定開示されておらず、また、英文証券固有の表示項目があることなどから、和文証券を作成する他の種目のように機械作成できずに手作業で証券発行を行っていた。今回、代理店に規定開示するとともに、オンラインシステム対応にすることで、代理店自らが試算、見積書や申込書の作成、計上などの事務作業をシステム上で行うことができることから、顧客によりスピーディーに証券を届けられるとともに、同社の社内業務の効率化にもつながる。
また、支払限度額と保険適用地域によって定められる下限保険料を最大約50%引き下げることにより、大企業に比べて輸出額が大きくない中小企業にも加入しやすくする。例えば、支払限度額が100万米ドル、適用地域を全世界(除く日本・米国・カナダ)とした場合の下限保険料は、18万円から10万円に引き下がる。この他、保険料の払込方法を他の賠償責任保険同様にキャッシュレス対応したことで、顧客利便性も向上する。
近年、日本企業の海外進出が加速するに伴い、製造・販売・輸出した生産物を起因とする海外の事故によって多額の損害賠償金を請求されるケースが増えている。特に中小企業の場合、顧問弁護士を持たない企業も多く、示談交渉や訴訟対応に不安を感じることから、海外で生じた対人・対物事故で被保険者が負担する法律上の損害賠償金や訴訟解決のための費用等を補償する上、示談代行サービスが付帯されている海外PL保険に対するニーズが高まっている。
実際、同社での海外PL保険の契約件数を2007年度と17年度で比較すると、約2.3倍に増加している。こうした背景から、中小企業がより求めやすく、また、代理店もスムーズに販売できるように今回の改定を行った。今後は、代理店の研修用に作成した解説動画や提案ツールを用いて、積極的に推進していく考えだ。
同社企業商品業務部責任保険グループの川端宏明課長は「現在、輸出規模の拡大や訪日観光客数の増加による製品の海外持出し、各国でのPLに関する法整備などを背景に、日本企業の海外でのPLリスクが高まっていることを受けて、今回の改定を行った。賠償事故が発生してお客さまがお困りになる前に、当社と各代理店が協力してお客さまに海外PL保険を提案していきたい」として、今後の進展に意欲を示している。