2018.06.14 三井住友海上「照会応答NAVI」 代理店システムに展開、AIが質問の回答候補を一覧表示
三井住友海上は4月から、AI(人工知能)技術を活用して代理店の照会対応をサポートする「照会応答NAVI」を本格展開した。業務上の問い合わせ対応に要する時間の短縮や、回答内容の均質化を目的に開発したシステムで、これまで営業課支社や一部代理店で導入していたものを同社の代理店システムを利用する全代理店に拡大した。コンテンツの登録情報量を増やす他、回答に対する利用者の評価をAIが学習することで回答精度が向上することから、利用頻度を高めてより迅速、高品質な顧客対応が実現するとの期待が集まっている。利用件数も順調に伸びており、現在は1日約1万件でリリース直後の2倍以上になっている。
「照会応答NAVI」は、IBMの高度な日本語解析エンジンを持つ人工知能システム「ワトソン」を活用しており、キーワード検索だけでなく、自然言語(文章)で入力した質問の意図を自動的に読み取り、あらかじめ学習した商品規定や事務処理などに関する情報の中から、最適な「回答候補」を一覧表示する。現在、対応するのは、自動車、火災、傷害、新種、マリン(貨物保険)など損保種目全般で、4月から同社の代理店システム「代理店MS1」を使う全ての代理店が利用できるようになった。同様の仕組みは、コンタクトセンターでの顧客からの問い合わせへの対応にも導入されており、回答を調べる時間や労力の削減を通じた業務効率化・生産性向上を見込んでいる。
質問を入力して検索ボタンをクリックすると、画面左側にマニュアル、右側はタブごとにQ&A、帳票、帳票記入例、約款・しおりの回答候補が表示され、確認したい回答をさらにクリックすると、マニュアルやQ&Aなどの該当ページが開く。各回答には、「役に立った」「役に立たなかった」のいずれかをクリックできる評価ボタンが付いており、利用者の評価をAIが蓄積・学習することで回答精度が上がっていく。
同社では、2015年度から同システムの開発をスタートし、16年6月に社内で照会業務を引き受ける商品・事務照会センターでパイロットを試行。その後、一部の営業課支社や業界に先駆けて代理店(直資代理店)での展開を始め、17年10月に社内全店と同社の代理店組織MSAの所属代理店に開示した。
今後は、対象範囲を広げるとともに、照会頻度や利用者の評価頻度を増やすなどして品質向上を図っていくという。導入を推進する営業事務部では、「今後、多くの代理店の皆さまに積極的に使っていただき、良さを実感してもらうことで当社と一緒に育てていただければと思う。回答精度の向上や対象範囲の拡大などで改善を重ねるとともに、さらに役に立つシステムになるよう、この先の発展形を考えていきたい」として、一層の普及と機能の向上に意欲を示している。