2018.05.11 日本生命がIT活用強化 業界初の生体認証導入、スマホによる手続きで
日本生命は、スマートフォンによる手続きに、生体認証を導入する計画だ。アプリを利用する仕組みで、IDやパスワードへの依存を軽減してセキュリティーレベルを向上させると同時に、利用者の利便性アップも図る。同社では、「早ければ7月にスタートさせる。インターネットの保険手続きでの生体認証は生保業界初」としており、「契約者貸付」を手始めに他の手続きにも広げていくという。
同社によるインターネット手続きでの生体認証の導入は、「最近はPCよりもスマホの利用が拡大し、アプリも急増している」「顧客の利便性向上に資する(ログイン時のお客さま番号や暗証番号の入力が不要)」「情報漏えいや成り済ましの防止につながる」などの背景がある。
同サービスを利用する場合、顧客は、指紋、顔、声のいずれかを選択して登録することができる。「契約者貸付」は現在、ATMやスマホMYページなどから年間約45万件の利用があることから、スマホアプリの利用目標も約45万件に設定している。今後、「配当金引き出し等の各種資金取引」「住所変更等」の手続きに広げていく予定だ。
生体認証の仕組みは、㈱ポラリファイ(㈱三井住友フィナンシャル・グループの子会社)と同社が共同で開発した。また、アプリの開発は、㈱エムティアイが担当し、日本生命の子会社であるニッセイ情報テクノロジーがサポートしている。スマホは、iOS版とアンドロイド版の両方で利用することが可能。
日本生命では、「今後、生体認証によるスマホアプリ手続きの拡大に取り組み、年間約300万件に達する全ての既契約者手続きをスマホアプリで行えるようにしていきたい」という。
同社は昨年10月、コールセンタースタッフが顧客のPC等で同じ画面を見ながらネット手続きをサポートする画面共有機能の活用を開始しており、今年3月にはAIを活用した会話形式による照会回答機能(AIチャットボット)も導入した。今後も、先端ITの活用を一層進め、RPA技術(注)の活用によるさらなる事務効率化や事務品質の向上を目指すとともに、AIOCR(文字認識)技術を活用したペーパーレスや事務効率化にも取り組む計画だ。
(注)RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用した業務の効率化・自動化の取り組みのこと。日本生命では、銀行窓販や企業保険領域で、今年3月までに29の業務で導入済み。